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月刊誌 指導と評価

2001年 2月号
  1. 2001年 2月号  Vol.47-2 No.553  定価:450円
特集
  • 新指導要録のポイント(1) 各教科の学習の記録
  • 【在庫なし】
  • 特集

    「各教科の学習の記録」の改訂のねらい
    文部省小学校課教育課程企画室長  松川 憲行

    ★新学習指導要領のもとでの指導要録における「各教科の学習の記録」は、「観点別学習状況」と「評定」によることとなる。

    ★「観点別学習状況」については、現行と同じく、目標に準拠した評価とし、四つの観点により実現の状況を三段階で評価する。

    ★「評定」については、現行の集団に準拠した評価から、目標に準拠した評価に改める。(小学校第3学年以上三段階、中学校の必須教科五段階は、現行のまま。)

    ★このように目標に準拠した評価を評価の基本に据えるためには、客観性や信頼性を確保する取り組みを併せ進めることが不可欠である。

    新しい観点別学習状況の評価の客観性を高める   -教科・観点の特質を踏まえた評価方法の研究
    京都大学教授  田中 耕治

    ★「観点別学習状況」欄が文字通り「目標に準拠した評価」の対象になることによって、今後その評価の客観性が厳しく問われるようになる。ここでは、観点の特性や教科の特徴を踏まえて、今後の基本的な研究課題を提示する。

    ★まず、認識価値にかかわる観点では、各観点間の区別と関連を構造的に把握すること、各観点に即して評価指標を作成することを指摘した。次に「関心・意欲・態度」の観点については、従来の混乱が整序されつつあり、そのことを踏まえて「段階説」と「平行説」の選択肢を提示した。これらの実践的な研究では、「コミュニケーション可能性」が求められていることを強調した。

    「各教科の学習の記録」の改訂への対応   「評定」と観点別評価
    佐賀大学教授  撫尾 知信

    ★これまで、「いわゆる絶対評価を加味した相対評価」を行っていた「評定」欄で、「観点別学習状況」欄と同様に「いわゆる絶対評価(目標に準拠した評価)」を行うことになった。これによって、「観点別学習状況」欄での観点別評価の結果を「評定」欄での総合評定に利用することが可能になった。

    ★「評定」欄で客観的な到達度評価(絶対評価)を行うためには、「観点別学習状況」欄での観点別の到達度評価を客観的に行うことと、観点別評価の結果を適切に総合することが必要となる。

    「各教科の学習の記録」の改訂への対応   「学習の評価」と調査書
    前東京都世田谷区立八幡中学校長  安齋 省一

    ★学校における「学習の評価」の目的は教育改善であり、調査書(内申書)の評価の目的である選抜のための資料とは根本から異なる。選抜のための評価は一つの尺度に拠る評価であり、「集団に準拠した評価」はまさにその一つである。

    ★個性・能力に応じた指導は、児童生徒の学習内容がつねに同じではない。「目標に準拠した評価」がこうした実態と離れたところにあるならば、指導と評価の一体化は言葉だけになってしまう。

    ★また、評価は個人情報である。指導に生かすために収集された評価を調査書(内申書)に記載することは、個人情報の目的外使用として厳しく戒められなければならない。

    「各教科の学習の記録」の変遷
    文教大学学園長・応用教育研究所長  石田 恒好

    ★「評定」は、戦後「相対評価(評定)」でスタートし、「絶対評価(評定)を加味した相対評価(評定)」となり、今回「絶対評価(評定)」となった。

    ★「所見」は、「観点を設け、優れた点と劣った点に○、×をという個人内評価(評定)」から「優れた点、劣った点を文章記述する個人内評価(評定)」となり、「長所を文章記述する個人内評価(評定)」となった。

    ★「所見」で設けられていた観点は、「観点別学習状況」で、教科目標を分析した観点となり、観点ごとの絶対評価(評定)を行うことになっている。なお、観点は教科独自の学力構造論に、自己教育力、新しい学力観、生きる力など教育でめざすものも反映させて作成されている。

    「評定」を客観的に行うには
    (財)応用教育研究所研究部長  長澤 俊幸

    ★「評定」欄に記入される数値は、各教科ごとの「生きる力の育成」という目標の実現状況の程度を表すものである。

    ★「指導要録は、児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿」なので、「評定」欄に記される数値の意味が、評価する人、される人、それを利用しる人のそれぞれが、同じ意味に解釈できるものでなければならない。そのためには、全国共通の評価規準が必要である。

    ★「評定」の客観性を高めるためには、「評定」のための資料に客観性の高いものを採り入れる努力が必要である。

    連載

    生きる力を育てる評価(4)   「自殺大国日本」と「生きる力」 弁護士
    川人 博
    新教育課程における評価の課題(4)   「評定の作成方法-観点との関連で-」 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    教科の基礎・基本<小学校理科>(1) 筑波大学附属小学校教諭
    露木 和男
    アメリカにおけるポートフォリオの歴史と現状(6)   「学び方を学ぶ学習とその評価」 工学院大学非常勤講師
    小田 勝己
    中学校/総合的な学習を創る(3)   「実践を始める前にしておく総合的学習のしかけ」 大分市立大東中学校教諭
    伊勢 博子
    高校入試問題はどこまで改善されたか(3)   「社会科」 国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部
    谷田部玲生
    国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部
    永田 忠道
    授業の中にカウンセリングを生かす   Counseling-Learning approachにみる英語学習の中に生かされたカウンセリング みちのくみどり学園心理療法士
    吉田 美宝
    だんわしつ 鈴木 桂子
    ひとりごと 元公立中学校教諭
    吉冨 久人