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月刊誌 指導と評価

2007年 9月号
  1. 2007年 9月号  Vol.53-09 No.633   定価:450円
特集
  • 教師の専門性
  • 【在庫なし】
  • 特集

    教師(教員)の職務と専門性
    明海大学学長・筑波大学名誉教授  高倉 翔

    ★まず、広義の概念である「教師」と狭義の概念である「教員」に分けて、法的な概念である「職務」について考察した。なお、「専門性」と「資質能力の向上」を考える前提として、二つの「ユネスコ勧告」から示唆を得た。

    ★二つの「実態調査」結果を手がかりに、教員の「職務」(ないし「業務」)の実態を明らかにし、次いで、教員の「中心的な職務」について考察した。

    ★教師(教員)に求められる「資質能力」と「専門性・適格性・信頼性」の関係、および養成・採用・研修の一貫した課程における「専門性」の、段階的・連続的な向上について述べた。

    子どもの発達を理解する
    筑波大学教授  桜井 茂男

    ★人間は生まれてから死ぬまで日々変化しつづける。身体や心の構造・機能に生じるこうした変化を発達という。発達は成熟(遺伝)と学習(環境)によって生じる。発達上の特徴をとらえて発達段階を設けることもできる。

    ★本稿では小学校時代(児童期)と中学校時代(青年期前期)に焦点を当て、各時期の発達現象を解説する。小学校時代では、体系的な教育が始まること、教師や友達が重要な他者になること、具体的操作ができ記憶力も高まること、承認欲求がまだ強いこと、学習習慣を形成することである。中学校時代では、思考力が最高段階に達すること、第二次性徴により自分への関心が高まること、達成要求が高いこと、現実的には万能感が高いことである。

    子どもとかかわる力を磨く
    神奈川県逗子市教育研究所所長  鹿嶋 真弓

    ★教師の専門性とは、教える・育てる・支援するための「知識・技術・能力」。その共通する能力こそ、人と「かかわる能力」である。

    ★子どもとかかわるときの必要十分条件は、教師の自己開示である。

    ★かかわる力を磨くには、モデル(先輩教師)を見つけ、まねすることから始める。

    ★かかわる際の落とし穴。外見に惑わされず内面を見抜く力を養う。

    ★かかわり方に公式はない。教師の専門性とは、常に試行錯誤を繰り返しながら磨きつづけるといった姿勢そのもの。

    教科の専門性を磨く
    筑波大学教授  塚田 泰彦

    ★教科の専門性を、各教科の基盤となる学問領域の知識・技能の習得におきかえてすますことができない。

    ★教科の専門性を高めるためには、教科内容を学ぶ学習者の生きた学びの姿と正対することで、自らの既成の教科観を内省することが必要である。

    ★学習者の発達の事実は、教科の専門性を磨く重要な契機となる。

    授業における教師の言動の専門性
    栃木県総合教育センター副主幹  田上 富男

    ★教師は体全体を使って授業を行っており、一つ一つの言動には意味があり専門性がある。

    ★教師の言動は、ほとんどが癖や習慣化されたものであって、普段の授業に直接かかわるため、どこをどう改善するかを意識して日常的に心がけることが大切である。

    教師の専門性と「描写レビュー」
    工学院大学非常勤講師  小田 勝己

    ★教師の専門性を高める方法の一つとして、子どもの強み、関心や理解の方向や度合いなどに注目する、「描写レビュー」という方法を紹介する。

    ★子どもの関心や強みは、実に多様である。将来の職業への片鱗を見せることもある。それを見きわめ、伸ばすことは教師の専門性である。

    ★教師の専門性を、「教科書の内容なり公的機関が定めたカリキュラムを、日常生活の文脈にのせることができるか」と「子どもを個別に、弱点と強さを具体的に把握し、それを補強・伸張することができるかどうか」ととらえることができる。

    保護者対応力を磨く
    昭和女子大学教授  有村 久春

    ★一部の親であろうが、“モンスターペアレント”と称され、ある種無秩序とも思われる一方的なクレームや苦情が教師たちを窮地に追い込む状況がある。それらが、日々の教育活動や教師のメンタリティを動揺させることがある。とくに初任者教員の場合など、その悩みや不安が尽きない。ここに、保護者対応の困難さと重要性(今日的な課題)がある。

    ★見方を変えれば、保護者の要求や願いをポジティブに活用し、協力し合う関係をつくることが求められる。それが具現化すると、互いに親和感が生まれ、双方が夢と希望をもって子どもの学習活動を支援する実態が見られる。そのために、教師自身も必要な情報を提供し、教育理念を積極的に語り、保護者の危機にしっかりと向き合うことが必要である。

    学校における事故の責任
    国立教育政策研究所名誉所員  菱村 幸彦

    ★事故が起きたとき、大切なことは、学校側の初動対応である。初動対応は、1.事故を軽視しないこと、2.事故情報が遅滞なく管理職に達すること、3.事故が起きたら、学級担任が保護者に連絡すること等が大切である。

    ★学校の事故対応は、危機管理の問題である。危機管理は、個々の教師の対応では限界がある。校長のリーダーシップのもとに、学校全体で組織として取り組まなければ、有効な対応はできない。危機管理で最も重要なことは、児童生徒の安全を確保することである。

    ★学校事故が発生した場合、学校側が負うべき法的責任には、1.民事上の責任(損害賠償責任)、2.刑事上の責任(業務上過失致死傷罪等による処罰)、3.行政上の責任(公務員法上の懲戒処分)の三つがある。

    教師の専門性と教員養成の問題
    東海大学教授  斎藤 尚也

    ★教師の専門性には、指導面だけでなく、先生としての人となりという全人的要素が求められる。これは大学での養成だけではとうてい達成できないものであり、子どもへの指導を通して生涯にわたって習得していくものである。

    ★教師の専門性の育成については、現行の養成・選考・研修の段階において、それぞれの課題がある。関係者による改善の努力がなされているにもかかわらず、成果が十分上がっているとはいいがたい。

    ★教師の専門性が生涯にわたって習得されるべきものであっても、現在の教員養成は教育実習も含めて指導者および学生の意識、また履修時間等の課題があり、関係者の労力も大きい。

    ★現行の教員養成制度の抜本的な改善について、そろそろ視野に入れるべき時期にきているのではないか。

    校長の専門性
    教育調査研究所研究部長  寺崎 千秋

    ★変革の時代、混迷の時代などといわれるなか、新しい時代の義務教育の創造が求められ、教育改革が進められている。校長は学校現場の最高責任者として、改革の先端となり、改革が子どもたちのためのものとなるよう、信頼される学校づくりをリードするのが責務である。

    ★こうした時代の変化に対応し、国民の期待に応える学校づくりを進める校長には、それにふさわしい新たな専門性が求められよう。校長には、教育者、学校経営者、学校管理職の三つの顔がある。この三つの面から、今日の改革の時代にとくに必要な校長の専門性を考える。

    ★校長の専門性は校長になる前から身につけること、校長になった後にはいっそう研修・研鑽に励むことが必要である。

    連載

    坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり   「わかる」と「できる」-基礎・基本の考え方(15)長さ 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    心理学を教育実践に活かす(3)   キャリア選択と個人の認知-SCCTによる理解 大阪教育大学講師
    安達 智子
    豊かな人間性を育てる授業シリーズ(6)   問題にじっくり取り組めるようになろう!行動の結果が予想できるようになろう!(小学五年生版) 教育臨床研究機構理事長
    中野 良顯
    どうする?小学校英語(27)   国際コミュニケーションの素地つくりとは何か 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    だんわしつ   何をどのように育てるか 文教大学教授
    嶋野 道弘
    ひとりごと 元公立中学校教諭
    吉冨 久人