トップ > 指導と評価 > 2009年 10月号

月刊誌 指導と評価

2009年 10月号
  1. 2009年 10月号  Vol.55-10 No.658  定価:450円
特集
  • 学力向上策を工夫する(1)国語
  • 【在庫なし】
  • 特集

    新学習指導要領でめざす国語の学力とその向上策
    宮城教育大学教授  相澤秀夫

    ★新学習指導要領が求める国語の学力を確かめるには、まず学習指導要領改訂の背景や趣旨、方向性をおさえ、その上で、学習指導要領の教科の目標に端的かつ構造的に示された育成すべき国語学力を理解する必要がある。
    ★その際、目標に示された文言の一つ一つの意味合いを『解説書』等を参考に確かめることが大切である。また、国語教育が本来的に母語教育であることや「よりよく言語化できる力」をめざしていることも再認識すべきである。
    ★言葉の力を身に付けさせるために、言語活動の充実を図ることが肝要である。一つ一つの活動の質をいかに高められるかが問われる。

    PISAと全国学力調査結果から考える国語教育の改善-国際的な読解力を育てるブッククラブの提案
    国立教育政策研究所総括研究官  有元 秀文

    ★PISA読解力調査でわかったことは、日本の国語教育は国際的な読解力を育ててこなかったということである。
    ★しかしPISAの問いをそのまま授業の発問にして、PISA対策のような授業を行うのは間違いである。なぜならテスト問題は、授業のごく一部しか測定できないからである。
    ★またPISAで求めているクリティカル・リーディングを授業に取り入れようとすると、従来国語教育で行ってきた教材理解や教材解釈がおろそかになりがちである。国語教育で行われてきた教材理解や教材解釈の土台に立って、国際的な読解力を育てるブッククラブの指導法を提案する。

    これから求められる学力と国語科の指導−要約指導でまとめる力・聞く力を
    愛知教育大学教職大学院教授  佐藤洋一

    ★国語科には、学校カリキュラムの「中核になる系統的な言語力」を育成する責任がある。「情報リテラシー」の観点から「国語科の二重性」「読む・書く学力と授業」をとらえ直す必要がある。
    ★「要約」は情報を正確・簡潔にキーワード化できる学力であり(聞く・読み解く学力)、全員に「自分の考え」を持たせ主体的な思考・判断・表現をさせるための基礎的な学習ステップである。「あらすじ」との違いも含め、方法と段階を具体的に提案した。
    ★伝記教材は筆者によって選択・再構成され、現代へのメッセージが語られる。論理的構成・描写等の特質を踏まえ、読む指導・人物紹介レポート等に生かすことが必要である。

    活用型の読解力を育てる文学の授業への転換を
    西九州大学准教授  金久愼一

    ★文学の学習指導過程に、習得した知識・技能の「活かす段階」を位置づける指導が重要である。「活かす場」としては、児童が体験的、実感的理解を味わえるような指導展開を企図する。
    ★今後の文学の授業では、作品の読み取りプロセスの中で、個々の言語技術を習得させる必要がある。言語技術把握は文学作品を読 む上での基礎・基本である。
    ★活用型読解力が身についたかどうかを評価するためには、活かす場において、習得した言語技術をどのように波及・応用させているのかなどの緻密な分析・考察が必要となる。

    詩・短歌・俳句、物語・随筆等の創作文指導をどうするか
    茨城大学教授  大内善一

    ★詩・短歌・俳句、物語・随筆等の創作文の指導で育成する能力は〈想像力〉と〈思考力〉であり、芸術的な価値を創り出すことをめざすものではない。
    ★詩・短歌・俳句、物語・随筆等の創作文指導に関する優れた実践事例を掘り起こし、それらの実践に学ぶことから始めることである。
    ★参考とする教材を古典的な作品や詩人や歌人・俳人の作品に求めるのでなく、敷居を低くして、子ども俳句等、児童生徒に親しみの持てる作品を提示していくようにしたい。

    小学校の話すこと・聞くことの学力向上策
    群馬県前橋市立総社小学校教諭  品川孝子・聖徳大学准教授  有働 玲子

    ★「話すこと・聞くこと」の学力向上策の主眼は、次の三点にまとめられる。ヽ惱過程の明確化、言語活動例の活用、3惱の系統性の重視。
    ★具体的な指導を展開する際は、「話すこと・聞くこと」の実践研究の成果をまとめた能力一覧表を手控えとして用いた。実践を展開するためには、「話すこと・聞くこと」に関する具体化した指標が必要であり、またそれをもとに実践することが、実践の質を高めることになる。

    国語の特質に関する事項
    玉川大学教職センター教授  輿水かおり

    ★「イ 言葉の特徴やきまりに関する事項」は、『小学校学習指導要領解説』二五ページにまとめられている。そこに示された六つの事項は、すべての言語活動を支える基盤となる言語事項である。一覧に示されたような発達段階を踏まえ、確実に習得させたい。「教材をどう理解させるか」に偏りがちだった指導を、「この教材でどんな言語の力を付けるのか」に力点を置いた指導へと改善する必要がある。
    ★「ウ 文字に関する事項」は、『解説』二六ページにまとめられ、四七、七三、九八ページにも解説がある。漢字は漢字学習の時に書けるだけでなく、文や文章の中で読めることや、実際に文や文章を書くとき「漸次書き」ながら、また漢字辞典も使えて調べる習慣をつけながら、確実に習得させたい。

    読書を学力向上にどう活かすか
    東京家政大学教授  平山 祐一郎

    ★学力のベースは言語力とそれによる思考力である。したがって、本を読むことは学力向上に良い影響を与える。
    ★読書は自己学習力を鍛え、実体験の意味を増し、想像力を伸ばす。読書習慣の形成は、知的な精神力(集中力や忍耐力等)を育む。
    ★本の「読み聞かせ」によって、子どもの聴く力を伸ばすことができる。それは学力向上に役立つ。また、「ブックトーク」を自ら行うことは、自分の読書歴に振り返りの機会を与える。さらに、これから読むべき本を自ら知る契機となる。つまり、自己学習を企画する力を育む。
    ★学力を向上させることと読書することを強く関連づけてしまうと、読書が有している幅広い効能を気づきにくくさせてしまう懸念がある。

    伝統的な言語文化
    富山市立新庄中学校教諭  平澤真名子

    ★古典教育に関わる「伝統的な言語文化」は、今回の学習指導要領で新設された事項である。内容は具体的に、小学校では「昔話や神話・伝承」、特に「古事記・日本書紀・風土記」などに児童がふれるよう記されている。
    ★また、朗読や暗唱が指導事項として取り上げられている。いずれも日本古来の学習方法であり、また有効である点から、今後、積極的に取り入れたい。

    連載

    坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(40) 小学校四年、小数と整数のかけ算、わり算 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    PISA型読解力を育てる(15)メタ言語としての文学の読み−PISA型読解力と文学教育 愛知教育大学教授
    丹藤博文
    第三回全国学力調査を分析する(3)中学校数学 岩手大学准教授
    立花正男
    ネット時代の読書論(19)教養のための読書−その3−そこに「発見」があるか− 東京家政大学教授
    平山 祐一郎
    小学校英語活動のポイント(7)コミュニケーション力(資質・能力)の育み方と見取り方のポイント−その2− 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    だんわしつ 驚きと発見のある授業を−いま学力の質が問われている 北海道教育大学教授
    今泉 博
    「活用力」と標準学力検査−学力調査に安心して使える検査とは 大阪教育大学名誉教授
    北尾 倫彦
    ひとりごと/オヌシ!デキルナ 元公立中学校教諭
    吉冨 久人