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月刊誌 指導と評価

2009年 11月号
  1. 2009年 11月号  Vol.55-11 No.659  定価:450円
特集
  • 学力向上策を工夫する(2)算数・数学
  • 【在庫なし】
  • 特集

    小学校算数科における学力向上策の工夫
    青山学院大学教授  坪田 耕三

    ★子どもの算数学力向上に関して、一つには、算数の本質に迫る基礎・基本の内容とは何か、教師がしっかり把握して授業に臨むこと。その二には、情意面に関わる「算数の楽しさに気付く」ことを中心に工夫した授業を考えてみる必要がある。
    ★新学習指導要領の解説によると、算数の楽しさに関わった改善策に五つの活動が提案されている。‘常の事象と関連した活動、△發里鼎りなどの作業的活動、実際の数量にあたる体験的活動、いまりを発見する探究的活動、ヌ簑蠅鼎りなどの発展的活動。これらを「ハンズオン・マス」と「オープンエンド・アプローチ」の視点から考えてみることが工夫になる。

    数学的な思考力、判断力を培う
    学習院初等科教諭  大澤 隆之

    ★私は、学力を(1)数学的思考力と態度(問題を解く力と構え)、(2)知識・技術(問題を解く力の基礎)ととらえる。
    ★学力を向上させるには、 屬覆爾修Δ覆襪を説明できないか」「きまりは使えないか」「前の学習を適用できないか」といった問いを育て、自分なりの考えを持ち、それを発表したり聞いたりして考えを深めることが大切である。特に文章から問題構造を読み取る技術の確立と数学的な考え方の育成が重要である。また、教え込みではなく、自分で形や数に働きかけながら知識・技術を獲得させることが大切である。

    数楽の眼を育てる
    広島大学大学院准教授  松浦武人

    ★「数楽の眼」とは「身のまわりの数・量・形とのかかわりの中で自ら問いをもち、問いの解決に向けて数理を追究する過程を楽しみながら、数学的なものの見方・考え方を拡げ、深める眼」である。子どもたちにこのような眼を育てたい。
    ★「数楽の眼」を育てるには、子ども自身の問いを引き出す、身のまわりの数・量・形を観る、遊びの特性を学びに活かす、多様な数学的表現への着目・共感を促すことを大切にしたい。
    ★教師は、子どもたちが学びの自立を確立するための揺るぎない教育観、めざす子ども像を、明確・具体的に語り、自らそのモデルとなる存在でありたい。

    数理的に処理する力を育てる
    青山学院大学教授  長嶋 清

    ★一斉指導の基本は、まず「全員の子どもが同じスタートラインに立って本時の授業に取り組めるようにすること」である。しかし、実際の授業では、既習内容の理解や定着が十分ではない子どもがいるにもかかわらず、全員が既習を理解しているという前提のもとに、前時の続きから授業が始まることが多い。
    ★そこで、一人一人の子どものできるところ、習熟の状況等からその子どもなりの考え方ができるような算数的活動を支援し、その活動から自分なりの数学的な考え方を身に付くような指導、一人一人の子どもの学力が少しでも向上するような授業について述べる。

    中学校数学の学力向上策−思考と表現が互恵的であることを実感させる教材開発を−
    東京学芸大学名誉教授  藤井斉亮

    ★「思考力・判断力・表現力」という文言が、無定義で多用されており、その意味を明確にする必要がある。
    ★数学教育において、学力向上を思考力・表現力の育成の視点からとらえると、式表現が重要であり、中学校では特に「文字式」の指導の充実が求められる。文字式の学習指導は、数学を言語とみて、文法・語彙・修辞法等を時間をかけて習得させるという姿勢で臨みたい。これまで文字式に表すこととその処理が重視されてきたが、「文字式をよむ」活動も大事である。
    ★思考力・表現力と一対になっているのだから、その関係を踏まえる必要がある。思考力・表現力の関係は「互恵的な」関係であり、このことを実感させる教材開発が求められている。


    私の学力向上策-活用と習熟、言語活動の充実について−
    横浜国立大学教授  池田敏和

    ★活用する力を育てるためには、問題を多方面から分析し、問題を言い換える力を育てるとともに、既習の何がどのように使えるのかを考えていく必要がある。そして、基礎的・基本的な内容の習熟を考慮に入れて、進みながら戻る指導を行っていくことが肝要である。
    ★言語活動を充実させるには、まずは発信しようとする気持ちを大切にしていきたい。そして、表現するために自分の考えを振り返る場面、友達の考えをよんだり評価したりする場面、他者を想定して表現方法を工夫する場面が生徒に提供できるように、生徒の考えをつなぐ発問に留意していく必要がある。

    授業づくりの視点から考える学力向上策
    岩手大学教授  山崎浩二

    ★数学の学力向上について、「授業づくり」の視点から考えてみる。数学の授業の中で、よりよいものを求めていこうとする態度を育んでいくこと、「なぜ」を大切にする指導、数学的に見たり考えたりすることを位置づける指導、数学的な興味・関心が高める指導、さらには学習環境を整えること、などが数学の力を高めていくと考える。
    ★授業改善は、新学習指導要領でも強調されている。魅力的な数学の授業の実践を通して、生徒は数学の学習の楽しさと大切さを知る。それが、数学の学力向上を促す。

    数学の有用性を学ぶ「モデルとしての実際問題」
    広島大学大学院教授  植田敦三

    ★中学校数学科の指導を通して、事象を数理的に考察し表現する能力、活用する態度を育てることが期待されている。このような能力や態度は問題解決の文脈の中で数学を有用なものとして学ぶことを通して形成される。
    ★本稿では、数学を有用なものとして学ぶことができる授業づくりの示唆を、大正末期から昭和初期に活躍した生活算術の実践家である仲本三二の主張に学ぶ。問題を学習者の疑問を中心とする実際問題と実際問題を背景とした事実問題に区分した上で、単元全体を通して事実問題を「モデルとしての実際問題」として取り扱うことの重要性を指摘する。
    ★最後に、事実問題を「モデルとしての実際問題」として取り扱う事例を示す。

    連載

    坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(41) 小学校五年、整数の性質 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    これからの理科教育をどうするか(3)小学校中学年「生命」「地球」 國學院大學非常勤講師
    森田 和良
    第三回全国学力調査を分析する(4)中学校国語 京都橘大学教授
    北原琢也
    自己の生き方を育てる学校教育(2)「我の世界と我々の世界を生きる」 中央教育審議会教育課程部会長
    梶田 叡一
    明治大学教授
    諸富 祥彦
    新しい教育評価の動向−主要論文の解説(20)テストが学習動機に与える影響 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    ネット時代の読書論(20)教養のための読書−その4−「問い」で発見に近づく− 東京家政大学教授
    平山 祐一郎
    小学校英語活動のポイント(8)コミュニケーション力(資質・能力)の育み方と見取り方のポイント−その3− 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    だんわしつ/平等の教育 教育ジャーナリスト
    増田 ユリヤ
    ひとりごと/勝ち負けはむつかしい 元公立中学校教諭
    吉冨 久人