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月刊誌 指導と評価

2009年 4月号
  1. 2009年 4月号  Vol.55-4 No.652  定価:450円
特集
  • 学力観を問う-活用する力をめぐって
  • 【在庫なし】
  • 特集

    新教育課程における活用とは何か
    文部科学省教育課程課  神山 弘

    ★知識・技能を活用する学習活動に取り組ませる際には、具体的に身に付けさせようとする力を明確にしておくことが重要。知識・技能の習得が、探究する学習(知識・技能の活用が必然的に求められる学習)につながるようにする。
    ★知識・技能の活用は、「習得」や「探究」の場面でも行われ、「習得」といっても、単純なドリル活動の繰り返しや、公式の暗記だけが想定されている訳ではない。知識・技能の活用は、思考力の育成のみならず、確実な習得や学習意欲の高まりにも資する。けっして「習得→活用→探究」という一方向で進むものではない。

    活用する力をどう育てどう評価するか−小学校国語
    筑波大学附属小学校教諭  青木 伸生

    ★何を「活用」させるのか。「活用」できる基礎・基本を確実に定着させることが大切である。
    ★学習活動は、系統的に、長いスパンで繰り返し積み上げていく。子どもにとって必要感・必然性のある学習活動を設定すれば、子どもは今までの知識・技能を総動員させて「活用」しようとする。
    ★子どもが「活用」している姿を見逃さない教師の目と耳が必要である。

    活用する力をどう育てどう評価するか−中学校国語
    鶴見大学講師  岩間 正則

    ★「活用する力」が重視される背景として、[確かな学力]を確実に身に付けていくことがある。「活用する力」を育成するには、「習得」「活用」「探究」の能力育成のプロセスの一つであることを理解しておくことが大事である。
    ★「活用する力」は、国語科においては「社会生活に必要とされる様々な言語活動を行う能力」と考えられ、実際の言語活動を通して身に付けることになる。そこで行われた言語活動が効果的なものであったのかを判断するためにも評価の役割は重要である。

    活用する力をどう育てどう評価するか−算数
    中村 享史

    ★算数科における「活用する力」とは、知識・技能と思考力・表現力を関連させながら問題解決する力である。活用の場には、算数をつくり出す場と、数学的に解釈し表現する場がある。前者では、帰納的・演繹的に考えること、計算のきまりを根拠に新しい計算の仕方をつくり出すことなどがある。後者では、ものの量感を育てること、割合などで表現された数値を数学的に解釈することなどがある。
    ★ノートの記述表現を見て、自分の考えを言葉や数、式、図、数直線などで表現して説明したことから活用する力を評価する方法がある。

    活用する力をどう育てどう評価するか−数学
    岩手大学准教授  立花 正男

    ★活用する力を育成するためには、生徒がどこで、何を、何のために、どのように活用したかを意識させ、その活用したことの有用性を指導することが必要である。この事例では、図形の問題の解決に関数的な見方などを活用していることを、学習の過程で生徒が意識できるように指導した。
    ★評価では、生徒が学習をどのような態度で進めるかを確認し、不十分な点は適確に指導し、学習の向上を目指すことが必要である。

    活用する力をどう育てどう評価するか−社会科
    山形大学教授  江間史明

    活用する力をどう育てどう評価するか−社会科
    ★社会科の「活用する力」とは、社会的事象に関わるすでに学んだ知識や概念、技能を、より複雑で現実的な場面において、新たに関係づけ再構成していく力とみることができる。
    ★「活用」の社会科授業づくりには、子どもが試行錯誤する活動(思考)空間を設定することと、「ふり返り」で活動の気づきを表現することの二つが必要である。効率的に調べて正答を出そうとする学習では、「社会の形成へ参画する資質や能力」とは結びつかない。

    活用する力をどう育てどう評価するか−理科
    宮崎大学教授  中山 迅

    ★理科の問題解決の立場から知識の活用について検討した。これは、日本の教育現場が育んできた観察と実験を中心とした問題解決の理科の基本に立ち返ることで、「活用する力」の本質をとらえ直そうとするものである。このような考えから、以下のような事柄について述べた。 岾慘蓮廚箸蓮岾悗嵶蓮廚任△襦知識は考えるための道具である。M科の問題解決は知識を生み出す行為である。ず任眤臉擇蔽亮韻粒萢僂蓮知識を生み出すために知識を使うことである。ッ亮韻鮖箸Δ箸蓮△垢覆錣繊考え、判断し、表現することである。γ亮韻鮖箸辰胴佑─△修譴亡陲鼎い独獣任掘行動する習慣こそが知識を活用する力である。

    活用する力をどう育てどう評価するか−英語
    新潟大学教授  松沢 伸二

    ★英語科の「活用する力」は、「語彙・文法を一つの技能で活用する独立技能」と、「語彙・文法を複数の技能で活用する統合技能」の二つである。独立技能は、一つの技能の中で語彙・文法を活用するタスクで育成する。統合技能の場合は、情報や考えをまとめて発信するために、語彙・文法を複数技能で活用する訓練をする。
    ★新しい教科書には統合的なタスクが載る。英語科の「活用する力」の評価には、新教科書と同様のタスクを課す。統合技能の評価では、「先行する言語活動で得た情報を適切に用いているか」を観点に加える。
    ★言語材料の習得学習と言語技能の活用学習をバランスよく行って、英語が分かり、好きになる生徒を育成する。

    学力観の変遷
    琉球大学教授  藤原幸男

    ★学力低下批判を経て確立されたのは、個別的能力−概括的知識−行為的態度の三層構造モデルであり、このモデルは一九六○年代に修正版三層構造モデルへと変容した。
    ★三層構造モデルは文化遺産の教育力の過小評価、態度主義偏重の批判を受けた。この批判は、教科内容研究に立脚して、教育内容の科学的・系統的組織化を問題にした。
    ★学習指導要領は一九八九年版以降、「新学力観」、「生きる力」を提起し、二層(思考力・判断力・表現力)、三層(関心・意欲・態度)重視のモデルに変容した。二○○八年学習指導要領は一層の確かな習得を強化し二層に活用力を位置づけた新三層構造モデルを提出した。これはPISAの影響を受けたが、PISAの学力構造の特質を踏まえていない。

    活用型学力をどう育てるエッセンシャルクエスチョンと評価規準
    工学院大学非常勤講師  小田 勝己

    ★知識や技能を実際に活用できるためには、かんたんには答えのでない実社会性の強い学習課題を出し、いろいろと調べたり、多くの資料をもとに総合的に判断したり考えたりして、レポートを書く(発表する)学習が有効である。
    ★もちろん答えは一つではない。教師と生徒がいっしょに、評価規準(クライテリア)をもとに学びの質を吟味する。評価規準は、ー分の行った学びにどれだけ実社会性があるか、¬鬼愀犬妨える事柄に関連性を見いだしたか、十分な根拠に基づいているか、などである。
    ★ただし、この問いを作り、また評価するには、教師自身が強い関心をもって深い満足感を得た学びを経験していく必要がある。

    連載

    坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり  「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(34) 小学校四年の立方体・直方体 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    PISA型読解力を育てる(9)  PISA型読解力に関連する考え方▲瓮妊アリテラシー  放送大学准教授
    芝崎順司
    第二回全国学力調査を分析する(3)  中学校国語 富山市立藤ノ木中学校教諭
    平沢 真名子
    ネット時代の読書論(13)  本をどう読むか−その1−クリティカルシンキングの難しさと大切さ 東京家政大学教授
    平山 祐一郎
    小学校英語活動のポイント(1)  今後の外国語活動における条件整備と教員研修のあり方について 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    教育の窓(6)  保健体育科として健康な心と体を育てる 順天堂大学准教授
    今関豊一
    だんわしつ  今ひとたび、授業記録を  十文字学園女子大学特任教授
    横須賀 薫
    ひとりごと 元公立中学校教諭
    吉冨 久人