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月刊誌 指導と評価

2009年 6月号
  1. 2009年 6月号  Vol.55-6 No.654  定価:450円
特集
  • 健康な心と体を育てる
  • 【在庫なし】
  • 特集

    健康な心と体を育てる
    東京女子体育大学名誉教授  尾木和英

    ★心と体に重点を置く指導の改善・充実を進めるに当たっては、まず現在の取組状況を点検し、自校の課題を把握する。子どもの実態、教育活動のどこに課題があるかを把握し改善充実に取組むことが重要である。
    ★各学校の実践課題は、心と体を一体のものとして捉え、効果的な教育を展開することである。改善の重点について全教職員で共通理解を図り、効果的な指導・相談、創意を生かした実践のための全校体制を整える。
    ★子どものかかえる心の問題に適切かつ迅速に対応し、子どもが安心して学習に取組むことができるよう、教育相談体制の充実を図ることが大切になっている。その際、子どもの生活環境を視野に入れ、学校・家庭・地域、関係機関との協力関係を整える必要がある。

    乳幼児期の大切さ
    鹿児島大学教授  大坪 治彦

    ★人間の生涯発達において,乳幼児期の重要性は繰り返し指摘されている.誕生時「ゼロ」から発達がスタートするという以前の心理学の考え方では,まさに重視された。
    ★心身二元論をルーツにする心理学では、従来「知の側面」の発達に偏って重視してきており、「体」が扱いにくかった。
    ★乳幼児期のアセスメントは、3歳以降になると「知能検査」が前面に出てくるが,それ以前はむしろ「知徳体」のバランスに注目する「発達検査」である.
    ★乳幼児期は,児にとってだけでなく、親にとっても重要である.

    道徳教育で健康な心と体を育てる
    千葉県習志野市立実花小学校教諭  岩瀬滋子

    ★新学習指導要領には「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行う…」と記されている。道徳性は道徳の授業だけで培えるものではないが、道徳の授業があってこそ培うことができる。そう解釈すると、道徳の授業をどう充実させるかが、子どもたちの道徳性の育成の鍵となる。
    ★香澄小学校では「共によりよく生きる」を研究主題に、道徳の時間の充実をめざして研究を進めてきた。他の教育活動と関連させて行うことによって、道徳的価値が自分のこととしてより強く意識される。

    身体、心情と知性の相互作用を促す取組み
    近大姫路大学講師  長瀬 善雄

    ★子どもが活力を蓄え意欲を発揮し自立に向けて成長していくためには、心と体がよい影響を及ぼし合いながら相伴った成長をするように促すことが重要である。
    ★学級担任は日々のくらしにおいて係の仕事、当番活動、掃除の時間、読書タイムなど決まった時間に決まったことをごく自然に行動できる成就体験を積み重ねられるようにすることを大切にしたい。
    ★体験が人を育てるし、人の考え方・生き方も変わる。達成感や自己存在感を高めること、人と協調すること、たくましく生きることも体験を通して学ぶことができる。だが、学校現場で行われている社会体験、自然体験が本当に価値ある豊かな体験になっているだろうか。

    地域とともに育てる−地域協働学校設立を目指して−
    東京都教職員研修センター教授  谷合 明雄

    ★子どもたちの健全育成は、永遠の課題である。家庭や地域社会の教育力が低下している現在、教育の専門家としての教師の役割がきわめて重要となる。
    ★地域協働学校は、地域に根ざし、地域に生きる子どもの育成をめざし、家庭・地域・学校が融合した体制の中で取り組んでいくものである。
    ★健康な心と体は、学校を基地とし、学校教育の内容と密接な連携を図りながら、保護者、地域の方々、関係機関の担当者などが自らのもてる能力・特技・技術などを提供し、連携しながら指導や活動を展開したとき、その過程でおのずと身に付いてくる。

    わたしひろがれ! みんなつながれ!〜いじめ・不登校の未然防止、不登校生の学校復帰をめざす取組み
    あいあいネットワークofHRS  深美 隆司

    ★大阪府松原市立松原第七中学校区の小中学校では、「授業の中に組み込んだ生徒指導(ガイダンスカリキュラム)」の実践に校区として取り組んでいる。
    ★ソーシャルスキルトレーニング、気づきと出会いの学習、ストレスマネジメント、アサーティブな人間関係づくりのプログラムなどで構成された、発達段階に応じたカリキュラムづくりに取り組んでいる。
    ★アンケート調査により、データの集積による効果測定に取り組んでいる。

    高等学校で健康な心と体を育てる
    文教大学准教授  新井 立夫

    ★人間という生き物は鍛えなければ退化する。心と体が健康であるためには、耐えて鍛えるための、「訓練」や「訓育」が必要になる。現在の学校教育では、ほとんど使われていない言葉であるが、指導上の問題が少ない学校こそ、それが有効に機能している。
    ★自律心を育み、清潔な環境の中、基本的な生活習慣を確立し、学習することで、教師らによって形作られていたものが、やがて生徒たちの「文化」となる。そして、いつしか「常識」となる。
    ★あらゆる学校教育は、「社会の一員として主体的に生きる」ところにたどり着くことを認識すれば「求めて学び、耐えて鍛えよ」の志は、この時代を生き抜くために不可欠なものといえよう。

    健康な心と体を育てる養護教諭の重要な役割(小学校)
    千葉市立真砂第五小学校養護教諭  中山 志保子

    ★養護教諭は「保健室」「保健指導」「保健学習」の3つの場面で、児童の健康な心と体を育てる教育をしている。
    ★保健指導の方法は、「個別指導」「グループ指導」「集団指導」などがあり、それぞれの指導内容によってねらいに合わせた指導方法を選んでいる。
    ★保健学習は「養護教諭単独」よりも「チームティーチング」がやりやすい。担任と養護教諭それぞれの得意分野を生かして、教育効果のあるものにしたい。
    ★学校の実態や児童のニーズを踏まえ、養護教諭のポリシーも大切にしながら、健康な心と体を育てる方法を探っていきたい。

    健康な心と体を育てる(中学校)
    東京都杉並区立中瀬中学校主幹(養護)  中村 眞理子

    ★健康教育・健康管理の第一線にいる養護の教諭という立場を最大限に生かし、健康教育を養護教諭独自の指導にとどめず、チーム支援、組織対応まで視野に入れた体制づくりも含め、どう展開してきたかを紹介する。
    ★一人の生徒はさまざまな環境の中で生活をしている。学級・学年・部活動・委員会等に属し、そして地域の中での活動、さまざまな事情をかかえた家庭。人はその環境の中で育ち、環境の中で変化していく。環境が変われば生徒の心や行動も変化している。そんな生徒たちを、客観的に主観的に、どう理解していくかを指導の一つの柱とした。
    ★思春期の生徒の心と体の健康状態に関し「何となく感じる・思う」ではなく、本校で実践している「Q−Uテスト」(学級診断テスト:河村)や「生活リズム調査結果」「学級担任の情報」など、客観的で具体的な数値を取り入れ参考にする工夫をした。

    連載

    坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり- 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(36)小学校四年の二桁の数で割るわり算 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    PISA型読解力を育てる(11)はたして読解力なのか? 名古屋大学大学院教授
    渡邉 雅子
    連載 第二回全国学力調査を分析する(4)中学校数学  全校国公立幼稚園長会事務局長・前東京都公立中学校長
    楚阪 博
    TIMSS2007算数・数学教育の国際比較 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    ネット時代の読書論(15)本をどう読むか−その3−クリティカルシンキング−統計グラフ編− 東京家政大学教授
    平山 祐一郎
    小学校英語活動のポイント(3)「外国語活動」におけるコミュニケーション能力の素地とは何か−その1− 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    だんわしつ 真に才能を伸ばす教育を  関西大学教授
    松村 暢隆
    ひとりごと 俺は雑巾か 元公立中学校教諭
    吉冨 久人