月刊誌 指導と評価

2012年 2月号
  1. 2012年 2月号 Vol.58-2 No.686  定価:450円
特集
学校経営と危機管理
  • 【在庫なし】

特集

学校をめぐる危機と危機管理

 

★危機管理とは、問題の予知・予測から、危機準備、危機対応、再発防止を含めた一連の組織的・体系的な取組を総称する。
★多岐に及ぶ学校の危機管理に対処するためには、教職員一人一人が危機管理能力を向上させるとともに、組織としての危機管理力を意図的・計画的に向上させていかなければならない。
★このためには、危機管理に必要な心(マインド)と技(スキル)を磨く研修が重要である。

学校の危機管理体制づくり

東京理科大学特任教員  清水井一

★学校危機管理体制づくりの基本は、「危機はどの学校でも起こりうる」との前提に立って、教職員一人一人が危機に対する心構えをもち、日々教育活動に取り組むことである。
★校長として主任層に働きかけ、教職員一人一人の危機管理に対する認 識を深めさせる人材育成の視点をもつことが大切である。
★学校危機管理の基本方策は、危機が実際に起こる前に予見し、そのための情報を集め、適切な対応を速やかに図ることである。

学校の防犯・防災の危機管理(安全管理)

文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課安全教育調査官   佐藤浩樹

★学校保健安全法では、各学校において学校安全計画、危険等発生時対処要領を作成するよう示されている。計画の必要的記載事項の確認と見直し、対処要領に沿った実践的な訓練等の実施が望まれる。
★その際には、学校安全参考資料「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」や学校安全DVD(教職員研修用)「子どもを事件・事故災害から守るためにできることは」資料の活用を図ってほしい。
★「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」の中間とりまとめでは震災を受けた課題や今後の防災管理等の考え方が示されている。また中央教育審議会スポーツ・青少年分科会「学校安全部会」では「学校安全の推進に関する計画」に関する議論が始まっている。

反社会的行動(非行)と対応

日本教育カウンセラー協会理事  藤川 章

★今どきの非行は、非行キャリアの積み重ねによらない「いきなり型」と言われる。その分、ポイントを押さえたアセスメントが重要である。また非行の入り口は、初発型非行と言われる「万引き」や「自転車盗」が多いので、この段階でのしっかりとした指導が大切である。組織の柔軟性を備えたチーム対応をする体制を、校内に構築しておく必要がある。
★また、非行の度合いに応じて、外部の専門機関と連携することをためらってはならない。これは、起きた事件の事後処理としてだけではなく、予防的な取組においても同様である。

児童虐待への対応

日本社会事業大学大学院特任教授  山下英三郎

★増加しつづける一方の児童虐待は、子どもたちの心身に深刻な影響を及ぼす。学校教職員は子どもたちをよく知る立場にあることから、常に虐待に対す る関心と認識をもつことが求められる。
★対応については、学校内だけではなく専門機関との連携が不可欠であり、学校外の機関との連絡調整役の明確化 が必要である。また、連携をする場合には、学校や専門機関の思惑の押しつけにならないよう子どもの感情や意思に配慮するとともに、家族を非難するのではなく、環境を整えるための支援をするという考え方に立つことが重要である。

養護教諭の行う危機対応

前全国養護教諭連絡協議会会長  濁川こず枝

★「心因的な問題をもつ子ども」の対応は、コーディネート力を発揮し、学校組織や関係機関と連携を図ることが大事である。   
★「けがや病気の子どもたち」の処置や対応は、養護診断「診立て」を的確に、正確にすることでスムーズに行われる。     ★東日本大震災を教訓に、自然災害や事件事故が起きた場合には、子どもたちの「心のケア」を中心に取り組むことが大切である。  

教職員のメンタルヘエルス「ストレス一日算主義の生き方で」

横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長  山本晴義

★教職員のメンタルヘルスの悪化が叫ばれています。予防を強化し、これ以上の悪化を防ぐ必要があります。
★メンタルヘルスの予防は、1次予防として、個人のストレスへの気づきと対処を行うこと、および、職場のストレス要因を減らすこと、2次予防として、心の病の早期発見と対応を行うこと、3次予防として、職場復帰支援を積極的に行うことがあげられます。まずは、すべての基本となる個人のストレスへの気づきを高め、たまったストレスをその日のうちに解消する「ストレス1日決算主義」の生き方に変えていくことが望まれます。

情報管理

学校リスクマネジメント推進機構代表  宮下賢路 

★個人情報保護の効果的な考え方は「組織的管理措置」「人的管理措置」「技術的管理措置」「物理的管理措置」という4つの切り口で考えること。
★定期的に現状を監査して問題点を改善することが大切。マニュアルは概念や方向性だけではなく具体的に定めることが、個人情報が教職員個人の判断で取り扱われないコツ。
★教職員がルールを無視することが問題ではなく、守ることができない組織の仕組みが問題。
★学校裏サイトの対策は情報教育をただ実施することではなく、その方法が重要。緊急時には積極的に情報を利用する視点も大切。

連載

新学習指導要領で教科調査官が求める授業(5)小学校外国語活動 文部科学省初等中等教育局教科調査官
直山木綿子
文部科学省視学官
杉田 洋
学校で取り組む特別支援教育(5)チーム支援 筑波大学教授
熊谷 恵子
これからの小学校国語の授業づくり(11)「読むこと」5年生-説明文 筑波大学附属小学校教諭
青山由紀
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(68)-小学校6年、拡大図・縮図 青山学院大学教授
坪田 耕三
新年度からの中学校社会科地理的分野の授業づくり(2)学ぶ意義を見いだせる主題の設定と、ジグソー学習による学び合い 富山市立山室中学校教諭
林 哲哉
富山市立堀川中学校教諭
道木善信
思考力・判断力・表現力を育てるパフォーマンス課題(5)社会科におけるパフォーマンス課題と「本質的な問い」 追手門学院大学教授
鋒山 泰弘
小学校英語活動のポイント(34)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法-その14(指導の基本4) 国立教育政策研究所名誉所員
渡邉 寛治
学校の法律相談(11)ホームページの写真掲載に同意は必要か 国立教育政策研究所名誉所員
菱村 幸彦
だんわしつ/全国学力調査の学校現場での活かし方 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
ひとりごと 元公立中学校教諭
吉冨 久人
TOP