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月刊誌 指導と評価

2012年 9月号
  1. 2012年 9月号  Vol.58-9 No.693  定価:450円
特集
  • 「深い理解」をめざす指導
  • 【在庫なし】
  • 特集

    「深い理解」のすすめ
    玉川大学教職大学院教授  山口栄一

    ★「深い理解」とは、生きて働く力の源である。「生きて働く力」は、自分なりに納得しようとする姿勢と、それができるんだと感じる効力感に支えられ、教科が提供する知識や考え方を身体化していることである。教科が提供するものは、文化から選ばれてきたもので、もともと社会のなかで生きて働いているものであり、深く理解すれば、社会とのつながりを強く感じることになるであろう。ここに、教師が求める理解をテストしながらも、私たちが授業で心しなければならないポイントが明らかになる。それは、教科特有の考え方を身につけさせることであり、自分なりの納得を得ようとする姿勢を大切にすることである。

    認知心理学からみた「深い理解」
    法政大学教授  福田 由紀

    ★認知心理学の主な目標は,頭の中にある知識状態の構造やその構築過程の解明である。そのような観点と教育的意義から考察すると,深い理解状態にある知識とは次の5つの条件をもっている。\阪眠修砲茲辰匿爾そ萢をされた情報は長期記憶に貯蔵されている△修両霾鵑和召涼亮韻閥く結びついているその情報は,当該の状況だけでなく,新規の場面にも適用できるように思い出されるっ韻忙廚そ个気譴襪世韻任覆,それを適用しようと思われる知識であるダ気靴っ亮韻任△襦このような条件を備えた知識を学習者に身につけさせることが教育の大きな目標であろう。

    国語科−「深い理解」をめざすために
    大阪教育大学名誉教授  中西一弘

    ★「深い理解」は、教師であればぜひともそこへ導きたいと望む事項であろう。それだけに魅力的な課題であるが、その行為はどこまでも続く。どこまでが浅く、どこからが深いという規準も設けにくい。昨日より今日は少し進んだ、明日はもっと、という個人的な尺度しかない。いつも中間にあり、追究を続けるという覚悟のいる行為である。
    ★性質上、一度に達成できるものではない。練習と反復がいる。そこを、一応、三段階のステップとして紹介した。実際は、もっと細かいステップを踏むことになるが、見通しをもつには、おおづかみな設定が有効である。よく理解してもらうために、一つだけ例を加えてみた。簡単にできる方法なので、有効か否かをみるために試みていただきたい。
    ★どの段階まで全員参加の学習がすすむか、高度な指導だけに、いくつもの配慮がいる。その点について、指導を支える一、二の項目を指摘した。

    算数・数学科における深い理解
    青山学院大学教授  坪田 耕三

    ★新しい概念は、既習の概念との違いを子どもが具体的に理解できるような授業によって、深く理解されていく。子どもの素朴な疑問を大事にしたい。
    ★言語活動の充実が叫ばれているが、算数の授業では、説明の仕方の形式的指導に偏することなく、子ども自ら、算数の内容の概念を探してつくり出すように促すことが大切だ。


    社会科における「深い理解」
    福島県本宮市立糠沢小学校教諭  阿部隆幸

    ★社会科はいまだに社会的事象を「覚える」ことを中心に進められている授業が多い。「覚える」ことは「理解」ではない。
    ★「深い理解」とは何か。学習したことや覚えたことを別の何かに「言い換えること」ととらえてみたい。「言い換える」ことで、覚えたままの言葉ではなく、自分の言葉を使わなければならなくなる。「本当に理解する」ことが必要になる。
    ★「覚えたこと」を「言い換える」ためには、「表現ツール」が必要である。「表現ツール」として四つの考え方を紹介する。

    理科における「深い理解」
    東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構副機構長  三宅なほみ・東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構協力研究員  小出和重

    ★本稿では、自然科学分野における概念変化研究をもとに、「深い理解」を引き出す知識構成モデルを提供し、そのモデルに従って実践された教室活動がどのような成果を上げているかを紹介する。現在大学発教育支援コンソーシアム推進機構と埼玉県教育委員会は、連携して「知識構成型ジグソー法」を使った授業実践に取り組んでいる。そこでは、教科書に出てくる内容について、高校生一人一人が自分の考えをもとに自分なりに活用できる心的モデルを構築し、モデルを使って問いに答え、適応的熟達につながる深い理科を得る姿が見えはじめている。

    「深い理解」と評価
    静岡県立袋井高等学校教諭  鈴木 秀幸

    ★「深い理解」の指導が成果をあげるためには、評価もこれに対応していることが必要である。評価が対応していなければ、「深い理解」の指導が行われることは困難である。とくに入試のようなハイ・ステイクスな評価(テスト)を改善しなければならない。

    連載

    新学習指導要領で教科調査官が求める授業(7)小学校図画工作 文部科学省教科調査官
    岡田京子
    文部科学省視学官
    杉田 洋
    特別支援教育に取り組む(5)「小学校における保護者支援を中心に」 横浜市教育委員会 特別支援教育課主任指導主事 
    冢田三枝子
    学級ソーシャルスキルを子どもに育てる(6)特別支援の必要な児童がいる学級 山梨県南アルプス市立大明小学校教諭
    深沢和彦
    これからの評価を考える(5) 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    これからの小学校国語の授業づくり(18)「話すこと・聞くこと」1年生 筑波大学附属小学校教諭
    青木 伸生
    小学校社会科の授業のあり方(3)5年国土、農業 日本の領土、農業をどう発展させるか 東北福祉大学特任教授
    有田 和正
    坪田耕三先生の発展基礎・応用を学ぶ小学校算数の授業づくり 「深め」「拡げ」て豊かな学び(1)−低学年でも発展・応用 1年 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    小学校理科の授業づくり(6)3年A「光の性質」 文部科学省教科調査官
    村山哲哉
    小学校英語活動のポイント(41)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法−その20(指導の基本11) 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    アドラー心理学で教師力を高めよう(5)子どもの不適切な行動にどう対応するか 文教大学教授
    会沢信彦
    教育統計・測定入門(6)素点の変換と正規分布 法政大学教授
    服部 環
    学校の法律相談(17)いじめの法的責任はどこまで 国立教育政策研究所名誉所員
    菱村幸彦
    だんわしつ/日本伝統建築の豊かさについて 文化財建造物修理技術者
    坂井禎介
    ひとりごと/五つ探せ 元公立中学校教諭
    吉冨 久人