月刊誌 指導と評価

2013年 8月号
  1. 2013年 8月号 Vol.59-8 No.704  定価:450円
特集
指導に生かそう教育・心理検査
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特集

教育・心理検査の特徴、選択、活用

文教大学学園長・応用教育研究所所長  石田 恒好

★標準検査の別称で、知能、学力、性格、適性等について作成されている。
★客観的な尺度をもつ点が、非標準検査、調査と決定的に異なり、広い活用を支えている。
★検査は、適正就学、学級編成、学力向上、学業不振の解消、教師の測定・評定の補正、いじめ・不登校の予防・解消、楽しい学級づくり、道徳性の実態把握と道徳教育の改善、進路指導等に広く活用されている。
★複数テストを組み合わせ(テスト・バッテリー)ての活用が、さらにきめ細かく有効な対応を可能にする。

標準学力検査を理解し活用する

(財)応用教育研究所副所長  堀口 哲男

★標準学力検査とは標準化の手続きを経て作成されたテストで、妥当性や信頼性の検討が行われている。
★標準学力検査の活用では、学級・学年集団への利用という側面と、児童生徒一人一人の学習支援への利用という側面がある。
★標準学力検査を活用した指導計画の見直しでは、検査結果の分析と、計画の立案や修正を並行して行うことが望ましく、その際に指導の手がかりとなるバッテーリ情報も活用したい。

NRTの結果を分析し、学力向上取組計画書づくりを通して学力向上をめざすいなべ市の取組

三重県いなべ市立立田小学校教頭・前いなべ市教育研究所所長補佐  片山 司

★児童・生徒の学力向上の取組を効果的に進めるにあたっては、学力調査の結果をできるだけ教職員の間で共有し、児童生徒の学習状況を共通理解することが大切である。
★いなべ市におけるNRTを活用した学力向上の取組の流れを示し、NRTの結果シートを分析するための要点と学力向上取組計画書を紹介する。

標準学力検査CRTを活用する

福岡県大野城市立御笠の森小学校教頭  野田 敏孝

★CRTの結果を活用するための視点[視点1]CRTの結果を活用する立場を明確にする(次年度同じ子供たちの指導に生かすか、同一学年の指導に生かすか)。[視点2]CRTの結果の「どこを生かすのか」を焦点化する(本稿では、各問題の通過率に着目)。[視点3]CRTの結果と教科書との橋渡しをする。
★CRTの結果分析後の取組では、授業・モジュールの時間・家庭学習の内容を、結果分析を生かしながら関連づけて取り組むことが大切である。
★取組の充実を図るためには、取組を個人任せにするのではなく、組織的に取り組むことが重要である。(1)学年チームでの取組の重視 (2)CRT活用推進役と校内組織との連携


Q-Uを活用する-学級経営と不適応の子の支援に役立てる-  学級経営のための診断、指導の方向の理解、指導法、PDCAのCに

奈良教育大学教授  粕谷 貴志

★Q-Uは,児童生徒の個別の理解のための客観的な資料が得られる標準化された心理尺度である。活用にあたっては,事例検討などをおこないながら,Q-Uの結果と日常観察から得られている多様な情報と統合して理解していくことがポイントである。Q-Uで得られた結果をもとに,学校の取組として教職員全員でアセスメントを行う過程は,教師が共に成長する学び合いや協働による実践の創造につながっていく。Q-Uの活用は,教職員の協働を生み出し,教師が実践力を高め合い児童生徒と共に育つ学校づくりにつながる可能性をもつ。

集団式知能検査を理解し活用する-学力向上の基礎資料

法政大学教授  服部 環

★知能は抽象的思考能力,新しい状況へ適切に適応していく能力,学習する能力などと定義される。単純に認知能力とする定義もある。
★行動遺伝学の知見によれば,知能検査の得点の遺伝率は二〇%ないし五〇%である。
★集団式知能検査と標準学力検査を併用して学業不振であるかを調べる。
★学業不振が疑われる場合,基本的学習生活を調べて学習不振の原因を探り,それを取り除く方策を立てる。

個別式知能検査KABC-Ⅱを理解し特別支援教育に活用する

筑波大学教授  熊谷 恵子

★KABC-Ⅱはルリア理論とCHC理論の2つの理論が背景となっている検査である。認知検査と習得検査からなり、認知検査からは、認知総合尺度とその下位の継次・同時・計画・学習という4尺度が測定される。また習得検査からは、習得総合尺度とその下位の語彙・読み・書き・算数の4尺度が測定される。これまで日本には、知的能力と習得度および学力を同じ得点法で示す検査が存在しなかったが、直接比較できる検査となったことで、習得度や学力の低さの要因が認知能力の強さ弱さとどのような関係があるのか、より詳細に分析でき、検査結果を指導にも活かせることになると思われる。

客観的なデータの活用とテスト学習ナビゲーションの実践による学力向上と自己実現力の育成

西九州大学非常勤講師・上峰町公民館長  池之上義宏

★生徒の学力向上をめざした取組として、指導者の学習指導に関する研究実践や、学習者の学び方を育成する研究実践の両方が大切であると考える。本研究は、学習者の実態について客観的に把握し、内的条件を改善する取組により、効果的な学び方を育成する研究実践である。
★テスト学習ナビゲーション(学ナビ)による指導・支援について、学校全体で組織的・計画的に取り組み学習者の内的条件を改善することで、主体的に学ぶ能力や態度を育成し、学力の向上を
図り自己実現力を高めたい。

連載

特別支援教育のさらなる充実を求めて(4)医療・福祉・教育がどう連携するか 社会福祉法人青い鳥 小児療育相談センター医師
原  仁
学級づくりと特別活動(4)朝の会と帰りの会で子どもが子どもに働きかける 上越教育大学特任教授
橋本定男
わたしたちの学校づくり(4)確かな学力が育つ授業の日常化から教科学習と「富士山学習」とのかかわりに焦点を当てて 静岡県
富士宮市立富士宮第二中学校
新しい教育評価の動向(25)フィードバックを子どもはどう受け止めるか 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
学校の法律問題(5)水泳指導と監視責任 日本女子大学教授
坂田 仰
小中学校国語の授業づくり(5)小学校「読むこと」伝統的な言語文化2年生 昔話との出会いを読書活動につなげる授業づくり 東京都足立区立千寿本町小学校教諭
古谷理恵
小中学校外国語教育のあり方(5)対人コミュニケーション力を養うための「指導と評価の一体化」中学校の言語活動の充実の指導はどうするか 国立教育政策研究所名誉所員
渡邉 寛治
どうする?小学校音楽の授業(3)歌唱の学習で身に付ける力とは 福島県鮫川村立青生野小学校教頭
吉川武彦
教材で子どもが輝く小学校社会科の授業(5)大阪の街から何が見えるか?(2) 東北福祉大学特任教授
有田 和正
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(12)3年 青山学院大学教授
坪田 耕三
小学校理科の授業づくり(17)6年B(1)「人の体のつくりと働き」 文部科学省教科調査官
村山哲哉
教育測定・統計入門(17)分散分析の原理と多重比較 法政大学教授
服部 環
だんわしつ/緊張とつきあう 劇団enji主宰
谷藤 太
ひとりごと/スタッフ担任 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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