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月刊誌 指導と評価

2016年 11月号
  1. 2016年 11月号  Vol.62-11  No.743  定価:450円
特集
  • 学びの安心をどう守るか
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    経済的貧困と学力−経済格差と学力格差
    慶應義塾大学教授  赤林英夫

    ★子どもの貧困と経済格差がもたらす次世代の格差の再生産が懸念されているが、そのメカニズム解明には、子どもを長期に追跡したデータが必要だ。
    ★筆者らは、小中学生の学力と心理、家庭環境の情報を継続的に収集する「日本子どもパネル調査」を2010年より実施してきた。
    ★これまでの分析で、(1) 世帯所得と子どもの学力の間の正の相関は、小学校低学年では小さく、高学年に拡大し、中学校に安定化する、(2) 世帯所得の一時変動は学力に影響を与えない、(3) 学力水準は年齢とともに固定化する、ことが分かってきた。
    ★学力格差解消に向けた政策は小学校低学年以前に力点を置くべきこと、生活支援とは別に子どもに直接届く施策を模索すべきこと、などが示唆される。

    学びのセーフティネットを守るための文部科学省の取組
    文部科学省初等中等教育局児童生徒課  広瀬章博 

    ★子供たちの未来が本人の努力以前の問題によって左右されることのないよう、学校が、貧困や児童虐待等の家庭環境の問題やいじめ・不登校等に悩む子供に寄り添い、学びのセーフティネットとしての役割を果たすことが重要である。
    ★文部科学省は、就学援助の充実や児童虐待の早期発見・早期対応の推進、いじめ防止対策推進法を踏まえたいじめ問題への対応、不登校児童生徒一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置による教育相談体制の整備等に取り組んでいる。

    特別支援教育と合理的配慮・基礎的環境整備 —合理的配慮の前の学習スタイルを考慮したユニバーサルデザインの授業—
    筑波大学教授  熊谷 恵子

    ★今年の4月より、国・地方公共団体等においては、障害者権利条約にある「合理的配慮」が法的義務となった。すでに、さまざまな国公立学校では取組が行われているはずである。
    ★ここでは、合理的配慮とその前に整えるべき基礎的環境整備の内容を説明する。その後、「基礎的環境整備」項目には明示されていないが、「学習スタイル」を紹介する。どのような人も自分が学習しやすい感覚様式や処理様式をもっている。発達障害やふだんの学習の積み重ねがない子どもたちには、とくに重要である。いかなる偏りのある子どもにも授業の学習内容が届くように教授方法を考えてほしいものである。

    変革をつづける福井県の教育政策
    関西大学教授   名取良太

    ★福井県の小・中学生は、平成19年度の調査開始以来、学力・体力とも全国トップ3の成績を残している。全国学力・学習状況調査では小学生が全国2位か3位を、中学生が全国1位か2位を、また全国体力・運動能力、運動習慣等調査でも小学生が男女とも全国1位を、中学生が男女ともトップ3を常に誇っている。これは、子どもたちの努力だけでなく、適切な教育政策の展開により、努力が結果に結びつく環境を整えていることに起因する。そこで本稿では、福井県の教育政策を概観し、子どもたちの育みに対する、行政のあるべき関わり方について論じる。

    なぜ塾に行けない子の学習支援が必要なのか
    池坊短期大学教授  宮武正明

    ★貧困家庭の親から子へ「貧困の連鎖」はなぜ起きているのか。学力不振・不登校・非行、「勉強嫌い」のはずの子どもたちが声をかけたらその日からなぜ学習支援・中学生勉強会に通ってくるのか。学習支援で子どもたちがどう変わり、家庭・地域がどう変わるのか。学習支援で心がけなければならないことは何か。貧困家庭にとって、経済的に負担がかからないのは高校就学、家計のためにも高校へ、その理由はなぜか。

    「安心できる学級・学校」とは
    神田外語大学教授  嶋 政男

    ★「安心できる」は、物理的には学校事故等の危機から心身の安全を確保できることを言うが、それ以上に、児童生徒一人一人が適応感や自己有用感を味わうことができる心理的安心を得ることが重要である。
    ★このためには、教師と児童生徒および児童生徒間が共感的人間関係で結ばれ、だれもが所属感を会得できる集団を築くことが求められる。
    ★学校は意図的計画的に「個が生きる」教育活動を展開するとともに、保護者、地域、関係機関等と手をたずさえて目標達成に取り組まなければならない。

    連載

    学校力・教師力アップセミナー(7)通常学級の特別支援教育を進める 富山県公立学校スクールカウンセラー
    水上 和夫
    特別支援教育のこれから(8)学習面で支援を要する子(LD等)の特徴とその対応 東京学芸大学教授
    小池敏英
    QUを活用した学級づくりと個別支援(8)荒れ始めたクラスの指導 山梨県南アルプス市立大明小学校教諭
    深沢和彦
    感度を高める言葉の教育(32)動詞の力を強くする 国立国語研究所日本語教育・情報センター教授
    石黒 圭
    教育評価のこれから(8)道徳教育と評価 神戸大学准教授
    川地亜弥子
    小中学校国語の「書くこと」(7)小学6年生−「イエス・バット法」を使って、意見文を書く 筑波大学附属小学校教諭
    桂  聖
    先人に学ぶ「数学的考え方」(6)秋山仁『知性の織りなす数学美』より 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    アクティブ・ラーニングで社会科の授業を変える(5)中学校社会科地理的分野 東京都練馬区立大泉西中学校主幹教諭
    池下 誠
    小中学校の理科(7)理科のアクティブ・ラーニングを促進する教師の資質・能力および地域教育コーディネーターの役割 前千葉県野田市立みずき小学校長
    大関 健道
    これからの英語教育をどうするか(7)中学校−家庭学習 東京都千代田区立九段中等教育学校主任教諭
    本多敏幸
    コンピテンシー・ベイスの授業づくり(4)算数・数学の学びを支えるコンテクスト 横浜市立六浦南小学校長
    齊藤一弥
    新しい教育評価の動向(48)K.S.テイバー、F.リガ、B.ビリングスレイ、H.ニューディック『新しい科学教育−イギリスの中等学校の生徒が、科学的な理論に関してどのような認識をもっているか−』 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    教育統計・測定入門(54)構造方程式モデリングによる相関係数の検定 法政大学教授
    服部 環
    だんわしつ/自己表現的言葉の必要性−褒め言葉とお笑い− 東北福祉大学教授
    上條 晴夫