トップ > 指導と評価 > 2017年 5月号

月刊誌 指導と評価

2017年 5月号
  1. 2017年 5月号  Vol.63-5  No.749  定価:450円
特集
  • 新教育課程で求められる評価
  • 入会(年間購読)へ
  • バックナンバー購入へ
  • 【在庫あり】
  • 特集

    学力調査を通じ国の教育課程を評価、改訂する
    国立教育政策研究所総括研究官  千々布 敏弥

    ★日本で実施されてきた学力調査は、児童生徒の学力を評価することに加え、国の教育課程を改訂する上での指針を提供してきた。
    ★学力調査において過去の調査と同一問題の正答状況は良好。知識・理解の面では高まっていると言える。
    ★日本の教育課程上の課題は、PISA調査で測られている思考力・判断力・表現力といった汎用的能力の育成。日本ではこの能力を含めて「生きる力」と称してきたが、その育成と評価が十分できていない。
    ★新しい学習指導要領と高大接続改革は、日本が世界に通用する汎用的能力を育成するための戦略を盛り込んでいる。

    学校の教育課程を評価する
    明星大学教授  吉冨 芳正

    ★学校教育は、意図的、計画的、組織的に行う必要があるが、教育課程の編成が十分でない、適切な実施につながっていないなどの課題も見られる。新学習指導要領の趣旨を踏まえ、教育課程を適切に編成・実施し評価・改善していくことが求められる。
    ★学校の教育目標の実現状況を把握し、目標の設定、内容の組織、授業時数等の取扱い、学習指導や教材、条件整備などについて、効果をあげている点や問題点を洗い出し、原因などを整理し、改善につなげていく必要がある。
    ★先進事例を収集し、その考え方や方法を生かすとともに、評価が自己目的化して作業が肥大化しないよう留意することが大切である。

    教科における資質・能力の育成と評価
    東京大学教授  白水 始

    ★児童生徒に育む資質・能力を「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱で整理した新学習指導要領は、観点別評価もそれに対応した3観点へと再整理する。
    ★資質・能力の育成において「指導と評価の一体化」が重視されることに変わりはなく、その根底に「観察したデータを解釈して児童生徒の認知に迫る」という評価の基本的な考え方が置かれるべきである。
    ★資質・能力の学習評価の鍵となるのは、各教科等で教えたいことを明確にして、児童生徒の資質・能力を引き出しながら伸ばす授業をデザインし、観察の窓を数多く開けて学びを見とり、次の授業デザインに役立たせるという継続的な授業改善である。

    教科のカリキュラムをPDCAサイクルにより改善する実践例―形骸化しないポイント―文部科学省研究開発指定に挑む大阪教育大学附属平野小学校を例として 
    大阪教育大学教授・附属平野小学校長  峯 明秀

    ★教育目標を実践研究の中心に据え、学校教育全体のカリキュラムをチェックし改善点を見いだす。
    ★校内研修は目的と進行表、役割分担を示し、限られた時間で話し合ったことや課題を可視化する。
    ★校時表を見直し、話し合いの時間を生み出す、ネットワークを活用して情報を共有する。
    ★授業を公開する、成果を発表する、証拠(エビデンス)を示す、外部評価を取り入れる。
    ★単元ごとの計画カリキュラムから学習者自身の追究に応じて柔軟に学習の流れが変えられる実施カリキュラムになっているかが問われる。 

    道徳科の指導と評価
    岐阜大学大学院准教授  柳沼良太

    ★道徳科でも「主体的・対話的で深い学び」を取り入れ、「考え、議論する道徳」として授業を行う。そのために、道徳科にも問題解決的な学習や体験的な学習を積極的に導入する。
    ★ただし、道徳科の特性に留意して、子どもの成長を見守り、努力を認め励ます評価にする。そのためには、継続的かつ肯定的な評価を記述式で行うようにする。
    ★道徳科の評価では、子どもが自律的に思考する中で多面的・多角的な見方へと発展しているか、また道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか、という視点が大事になる。
    ★道徳科と学校の教育活動全体を関連づけ、道徳専用の欄だけでなく「行動の記録」や「総合的な所見」とも関連づけて総合的に評価する。

    特別支援教育における 「指導と評価」のこれから
    国立特別支援教育総合研究所理事長  宍戸和成・筑波大学附属久里浜特別支援学校主幹教諭  高尾政代

    ★今回の改訂では、子どもの発達を支援するという趣旨で、小学校等の学習指導要領総則において、特別な配慮を必要とする子どもへの指導に関する記述が追加された。また、各教科等の指導においても、指導計画の作成と内容の取扱いの中に、学習活動を行う際の困難さに着目して指導の工夫を行うことが示された。
    ★子どもの学びの質を高めるためには、今後、小・中学校等と特別支援学校間での連携協力が、より一層必要になる。こうした状況を踏まえ、特別支援学校の指導と評価について、一つの指導例をもとに考え方を述べた。今後、学校間相互のつながりが一層深まるきっかけとなることを期待したい。

    連載

    QUを活用した学級づくりと学力向上(2)アクティブ・ラーニングが成果をあげるために必要となる学級集団の状態とは 早稲田大学教授
    河村 茂雄
    合理的配慮が求められる時代の特別支援教育(2)特別支援教育の前に 富山県公立学校スクールカウンセラー
    水上 和夫
    役に立つ教育カウンセリングの技法(2)面接の技法モデルと学び方  北海商科大学教授
    大友 秀人
    先人に学ぶ「数学的考え方」小学校算数(11)中島健三『算数・数学教育と数学的な考え方−その進展のための考察―』 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    小中学校の理科(12)教師の資質・能力を高めるための自主的な学習会 前千葉県野田市立みずき小学校長
    大関 健道
    コミュニケーション力を育てる英語教育(2)小学校の「外国語」教育を実践する際の留意点について 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    教えて考えさせる授業(9)小学校社会の事例6年「自分のこととして選挙を考えよう」 岡山県美作市立勝田小学校教諭
    山本輝美
    コンピテンシー・ベイスの授業づくり(10)図画工作・美術 上越教育大学教授
    松本健義
    教師力アップセミナー(2)学級づくりの成果を積み上げるための戦略 京都文教大学准教授
    大前暁政
    私のカウンセリング道程を語る(2)教育への開眼−陸幼生徒の体験 NPO法人日本教育カウンセラー協会会長
    國分康孝
    NPO法人日本教育カウンセラー協会理事
    國分久子
    教育の窓(30)学習指導要領の編成方針の変化 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    巻頭言 東北大学大学院教授
    堀田龍也