月刊誌 指導と評価

2020年 8月号
  1. 2020年 8月号 Vol.66-8  No.788  定価:450円
特集
❶評価規準の作成と活用(1)❷SNSカウンセリング
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特集

特集❶評価規準の作成と活用(1)/国立教育政策研究所の「『指導と評価の一体化』のための参考資料」を見て

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★参考資料は形成的評価重視の流れを受けて、評価の結果を指導に生かすことを強調している。
★学習指導要領から評価規準を作成する手続きを述べており、学習指導要領の文末を変換する方法を示している。
★一部の教科では、学年ごとに評価基準がどう変化するか示されていて興味深い。
★評価事例は数こそ少ないものの、生徒の作品や写真が多用されており、説明も工夫されている。

特集❶評価規準の作成と活用(1)/小学校国語科における評価規準の作成と活用

筑波大学附属小学校教諭  青山由紀

★評価について新たな枠組みを理解し、運用しようとしている今年度は、「評価のための評価」に陥りやすいため、注意が必要である。「指導のための評価」となる「指導と評価の一体化」を実現するには、以下の点に留意する。①評価の観点を絞ること②時間を要さずに評価し、指導できるよう、規準となるモデルを指導者自身が書いてみること③モデルのような回答が得られる発問や活動を吟味すること

特集❶評価規準の作成と活用(1)/探求的な学習過程を重視した中学校理科の指導と評価

滋賀県米原市教育委員会事務局学校教育課  澤田隆文

★理科の授業においては、自然の事物・現象に進んで関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験などを行い、科学的に探究する学習を充実するために必要な資質・能力を育成することが一層求められている。
★観点別学習状況の評価にあたっては、単元の評価計画に基づき、それぞれの評価の観点における評価規準に従って評価方法を工夫し、学習のまとまりごとに評価を実施する。

特集❶評価規準の作成と活用(1)/小学校音楽(解説と評価事例)

東京都港区立芝小学校主任教諭  石井ゆきこ

★表現や鑑賞の「活動」としてではなく、「学習」としてどの事項を扱うのかを明確にし、目標と評価を一致させる。
★「児童の思考・判断のよりどころとなる主な音楽を形づくっている要素」を明確にし、学習内容を関連付けて題材を構成する。
★共通する指導内容で関連性をもたせ、知識の評価、知識と技能の評価、技能どうしの評価を統合するといった工夫により、学習評価の精選を図る。

特集❶評価規準の作成と活用(1)/中学校保健体育(解説と評価事例)

岩手県二戸市立金田一中学校長  千田幸喜

★生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現していく資質・能力の育成に向けて、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の内容をバランスよく指導し、評価することが大切である。さらに、これまで以上に、カリキュラム・マネジメントの充実や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を推進するとともに、指導と評価の一体化が求められている。

特集❷SNSカウンセリング/SNSカウンセリングとは

京都大学学生総合支援センター教授  杉原保史

★子どもたちの遠隔コミュニケーションのあり方は、近年、急激に変化した。現在、子どもたちは電話もメールもほとんど使わない。子どもたちがさかんに使っているのは、LINEやInstagramなどのSNSである。悩みをかかえた子どもたちに効果的にアプローチするうえで、もはやSNSを避けてとおることはできない。以下においては、SNSカウンセリングの意義とそれをとりまく状況などについて概観したうえで、教育現場とのかかわりについて考える。

特集❷SNSカウンセリング/カウンセラーとして自治体の事業にかかわった経験から

公認心理師・学校心理士  伊賀美夕季

★筆者は昨夏SNSカウンセラー研修を受け、自治体の事業に数回参加した。基礎資格があれば指定された研修受講後にSNSカウンセラーとして認定を受け、仕事をすることができる。実際にLINE相談で関わった中高生たちは、相談するほどではないと思いつつも解決できないまま悩みをかかえていた。そのような中高生にとってSNSカウンセリングは敷居が低く、問題の解決や不登校などの予防的手段として有効であると感じた。

特集❷SNSカウンセリング/SSWとして行うSNSカウンセリング-学校外の立場から

公認心理師・学校心理士  伊賀美夕季

★SSW(スクースソーシャルワーカー)にとって、SNSカウンセリングは、①不登校児童生徒とつながりやすい、②保護者利用で家族問題に有効な社会資源を紹介しやすい、③いじめや虐待の発覚に有効である、④リアルタイムに「いまの状態」を確認できるという点で支援に結びつけやすい。ただし、LINE既読サインやスタンプが裏目に出ることもあり、SNS特有のさまざまなリスクを念頭において活用する裁量が必要である。

特集❷SNSカウンセリング/「見知った大学生」へのSNSカウンセリング応用の試み

皇學館大学准教授  中條敦仁

★SNSは、十代・二十代の若者にとって、気軽に情報を発信・共有・拡散でき、アプリ等も無料であることから、身近で気軽な他者とつながるツールである。
★そのツールを活用したカウンセリングは、相談の入口として有効性が高い。
★従来、「不特定多数」を対象としたカウンセリングではあるが、大学生とのラインにおける相談の実際から「特定少数」に対してもその手法は有効に働くものと考える。

特集❷SNSカウンセリング/若者LINE相談体験を通じて考えたこと-LINE的傾聴とあいまいな関係の先にあるもの

横浜市教育委員会・学校カウンセラー  八田陽子

★LINEは、若者には気軽に利用できるSNS相談ツールである。顔が見えない対等な立場で文字のみのやりとりを通じ、自己呈示が早い段階から現れる。相談員は言葉の裏にある意味や思いを確かめながら、若者の言葉に添いつづける。傾聴は温かく丁寧かつわかりやすい対応を心がけ、一期一会の相談の着地点を見定める。行動変容や洞察、継続的関係をめざさず、理解され受容された感覚や内省の機会を提供し、つなげる相談として活用される。

特集❷SNSカウンセリング/企業として行うSNSカウンセリング

(株)アイディアヒューマンサポートサービス代表  浮世満理子

★SNSカウンセリングの実情を知り、匿名性が高くハードルの低い相談窓口であるSNSカウンセリングだからこそ見える「相談者の本音」を聴く課程を紐解く。実際の相談の流れやカウンセラーの責において重要なポイントを明確にし、現在どのような場所でSNSカウンセリングが取り入れられているのか、また、今後求められる相談者、カウンセラー双方において安心かつ安全な相談環境を考察する。

今月のイチオシ!!ここまでは押さえたい学習評価(4)信頼性と妥当性

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

連載

巻頭言/学校教育に活かすSNSカウンセリング 日本スクールカウンセリング推進協議会理事
加勇田修士
木下是雄と「言語技術の会」ルネッサンス(14)新たな取り組み 学習院高等科教諭
松濤誠之
小学校英語の指導と形成的評価(2)知識・技能の指導と評価 新潟大学教授
松沢 伸二
中学校社会科で主体的・対話的で深い学びを創る(3)「問題解決的な学習」を通して他者と学び合う力を鍛え上げる社会科学習の研究~単元の流れと論文の評価①~ 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭
町田 憲二
教育相談はこう学ぶ!-全国各地の特色ある教育相談研修-(17)「チーム学校」としての教育相談 岐阜県教育委員会
尾関香織
「概念」を教える・学ぶ(4)心理学実験室と教室 東京学芸大学名誉教授
河野義章
予防としてのコミュニケーション教育(5)SELの実際-感情のムードミーターを中心に- 東京情報大学准教授
原田恵理子
教育の窓 段落論/一目でわかる文章術 文部科学省教科書調査官(体育)
渡辺哲司
教育の窓 生徒指導は「人間関係づくり」から 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
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