月刊誌 指導と評価

2022年 2月号
  1. 2022年 2月号 vol.68-2 No.807  定価:450円
特集
❶エビデンスに基づく教育❷キャリア教育再入門
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特集

特集❶エビデンスに基づく教育/教育における「エビデンス」の多義性

放送大学教授  岩崎久美子

★エビデンスという言葉は多義的で、本来はランダム化比較試験(RCTs)の結果を集積し、系統的レビュー(SR)で産出されるものを指す。研究者は知識支援型のエビデンス供給、政策立案者は政策決定支援型のエビデンス活用の点からこの言葉を用いる。データが安易に政策の裏づけとされる危険性を肝に銘じ、指導や評価の際は、データの客観性についての正確な知識や見識を有することが重要である。

特集❶エビデンスに基づく教育/エビデンスに基づく教育施策-国レベルでの取り組み-

京都産業大学教授  惣脇 宏

★2018年に策定された第三期教育振興基本計画に「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」が盛り込まれている。
★2017年から政府全体でEBPMの取り組みが始まり、KPI(重要業績評価指標)ロジックモデルの作成などが行われている。
★エビデンスに基づく教育施策には、教育の特性を考慮する必要性のほか、教育データの整備と利活用など多様な課題がある。

特集❶エビデンスに基づく教育/教育実践におけるデータの利活用

奈良教育大学教職大学院准教授  小﨑誠二

★データの利活用にかかわる教育委員会の役割は、「整備」「内容」「研修」の3点に整理される。
★学校現場では、成績データ以外にも日々さまざまなデータが生み出されている。データをシェアする学校文化の醸成とともに、子どもや先生が元気になるデータ利活用に向けて取り組んでいく必要がある。
★将来的には教育データは子ども本人の教育IDに紐づけ、必要な情報を必要な期間、学校と共有して利用するのが望ましい。

特集❶エビデンスに基づく教育/エビデンスに基づく教育実践-学校現場の事例から-

岐阜県養老町立笠郷小学校教務主任  森 俊郎

★エビデンスに基づく教育(以下、EBE)とは、「教育分野における意思決定に最新で最善の根拠を良心的かつ明確に思慮深く利用すること」である。具体的な実践事例を土台にEBEを正しく理解することで、昨今の教育のあり方を見直す一助になる。

特集❶エビデンスに基づく教育/教師が「つくる」エビデンス-研究デザインの工夫と標準検査の活用-

東北大学教授  宮本友弘

★「指導と評価の一体化」プロセスにおけるアセスメントは、指導計画や指導方法の選択・決定、改善の裏づけとなるエビデンスを「つくる」ことでもある。
★教師が良質のエビデンスを「つくる」手だてとしては、研究デザインの工夫と標準検査の利点を生かすことが考えられる。
★現実的制約の多い教育現場では、可能な限り最善(best available)のレベルのエビデンスを志向することが肝要である。

特集❷キャリア教育再入門/これからのキャリア教育

筑波大学教授  藤田 晃之

★キャリア教育については、2002年に国立教育政策研究所から「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」、2006年に文部科学省から「小学校・中学校・高等学校 キャリア教育推進の手引き」が出されている。そこでは小学校は進路探索・選択の基盤形成の時期、中学校は現実的探索と暫定的選択の時期、高等学校は現実的探索・試行と社会的移行準備の時期ととらえられる。

特集❷キャリア教育再入門/キャリア発達を支援する

労働政策研究・研修機構副統括研究員  下村英雄

★子どもの発達を踏まえたキャリア教育の三大原則は、①身近→遠くへ、②具体的→抽象的へ、③自己→職業へ、である。
★マッチング理論(自己理解と職業理解と両者のマッチング)は最も古くシンプルなキャリア心理学の理論だ。それによれば、直後の進路に偏重し、本人の意向を無視した「出口指導」は適切でない。
★キャリア発達理論はキャリア心理学の中心的な考え方だ。キャリア概念を家庭生活・市民生活にも拡張して人生における「役割」を重視し、夢や希望を語る。しかし社会・雇用情勢が激変する今日では、目標や目標への道筋などを柔軟に調整しつづける必要がある(キャリア構築理論)。厳しいキャリア環境の今日では、自己効力感がとても重要だ。

今月のイチオシ!!実効ある目標準拠評価(8)ペーパーテストの改善:小学校国語-「思考・判断・表現」を中心に

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

連載

巻頭言/自己実現への学習意欲を育てる 筑波大学名誉教授
櫻井 茂男
「教師力」アップセミナー 子どもとともに成長する教師を目指して(9)教科教育-20年後の新学習指導要領に魁ける! 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(11)3時間で学ぶアカデミック・ライティング(前編) 筑波大学附属高等学校教諭
大内康宏
読解力の育成(11)説明文と意見文の区別 筑波大学附属小学校教諭
白坂洋一
いまどきの特別支援教育(11)異年齢教育の視点から考える発達障害のある子どもたちの学び 神戸大学
赤木和重
ガイダンスカウンセラーの挑戦(11)オンラインSGEの試み 札幌市立公立中学校教諭
瀬尾 尚隆
教育統計・測定入門(101)反事実モデルと因果効果 法政大学教授
服部 環
コラム/人間関係づくりのための基本姿勢-愛情をもって「叱る」② 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
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