月刊誌 指導と評価

2022年 6月号
  1. 2022年 6月号 vol.68-6 No.811  定価:450円
特集
➊いま求められる教員研修とは
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特集

特集➊いま求められる教員研修とは/教員研修の現況と魅力的な研修の実施

埼玉大学・神奈川大学・早稲田大学大学院非常勤講師、元筑波大学附属中学校主幹教諭  肥沼 則明

★法律に規定されるまでもなく、教員は日ごろから自分の意志で研修を行うべきである。
★研修には強制参加型と自由参加型がある。
★魅力的な研修の実施には、適切な講師の人選と受講者を飽きさせない形態および内容が必要である。
★同僚との学び合いが研修の第一歩である。

特集➊いま求められる教員研修とは/初任者研修の現状と課題-初任者にはどのような学びが求められるか

国立教育政策研究所総括研究官  千々布 敏弥

★初任者の研修機会は、校外研修・校内研修に加え、自主的に学ぶ研修や指導教員等によるメンタリングなど多様にある。
★初任者本人は、自らの実践や同僚・先輩との交流から成長の実感を得ている。鍵はリフレクション(省察)であり、その機会をいかにもてるかが教師の成長を左右する。

特集❷いま求められる教員研修とは/スクールリーダーをどう育てるか

敬愛大学教授・全国連合小学校長会顧問  向山行雄

★現職校長の直面する問題には、働き方改革や学校の組織的運営などのマネジメント面での課題が見られる。一方、近年、教育公務員特例法が改正され、急激な社会変化を踏まえ、校長及び教員の資質向上を図るための指針と指標が定められた。これを受けて、各任免権者は、教員養成指標を策定し、計画的に研修を進めている。スクールリーダー育成にはこうした研修のほかに、自己を高める「修養」も大切である。

特集➊いま求められる教員研修とは/サークルで教育文化に出会い、創る

北海道恵庭市立和光小学校教諭  山田洋一

★30年近く、私は民間教育団体を主宰してきた。その間、5冊の共著をサークルで著し、250回以上の研修会をサークル主催で行った。教員であることと、サークル活動を推進することは、私にとっては切り離せないことだ。そして、教員であることが私の人生であり、サークルで活動してきた時間もまた私の人生である。そこで、人に出会い、別れ、また出会う。本稿では、およそ30年間の活動での気づきを綴る。

特集➊いま求められる教員研修とは/授業力を高め合う研修のあり方-「教えて考えさせる授業」を事例として-

東京大学名誉教授・帝京大学中学校高等学校校長  市川 伸一

★自分の授業を振り返り省察することによって授業力は向上する。省察力を磨き、授業改善につなげるためにも、教員集団による授業検討会は有効である。自分だけでは気づかない視点が得られるからである。
★教員異動が毎年ある公立学校で授業研究を継続していくには、管理職や研究主任のリーダーシップが鍵になる。学校を越えた研修体制の整備も今後の課題である。

特集➊いま求められる教員研修とは/道徳教育の研修の基本的な考え方

帝京大学教育学部教授  赤堀博行

★道徳教育で養う道徳性は、豊かな人間性はもとより、確かな学力や健康・体力をも支える重要な内面的資質である。その重要さ故に、学校の教育活動全体で養うことが求められる。道徳教育の研修は、一人一人の教師の教師力の結集としての学校力の向上を目指して行うことが必要である。研修の内容は多岐にわたるが、校長をはじめ一人一人の教師が、日頃の道徳教育の改善・充実を図ろうとする熱意をもつことが何よりも大切である。

特集➊いま求められる教員研修とは/生徒指導の力量を高める研修-職員室を整え、参加者をフローに導く研修を-

京都教育大学教授  片山紀子

★これまで行ってきた研修はともすると改善の余地があったかもしれない。効率性だけを求めて要領よく進め、これだけ知識を伝えたから「これでよし」といった研修をしていなかっただろうか。
★生徒指導の研修を成功させたければ、準備が大事である。職員室を整えたうえで、受講生がフロー状態になる準備を的確に行う。もしフロー状態にならなければ主催者の責任というくらいの覚悟で臨みたい。

特集➊いま求められる教員研修とは/グループアプローチ活用のススメ

会津大学教授兼文化研究センター長  苅間澤勇人

★グループアプローチは予防・開発的教育援助の手法であるところに魅力がある。その手法を学ぶには、座学だけでは不十分で体験することが必要である。教師自らグループアプローチを体験するから、リーダーとしての自信がもてる。グループアプローチを実施することで、子どもへの行動指示が巧くなったり、活動に伴うプロセスを読みとったりする力も身につく。その力は学習指導面でも生かせる。学校で行うグループアプローチでは、日常性に配慮して、肯定的な気持ちになる活動にする。そのためには、カウンセリングマインドを身につけることが必要である。

特集➊いま求められる教員研修とは/PCAGIP法による教育相談校内研修-事例検討をどう進めればよいか-

びわこ学院大学教授  南 雅則

★PCAGIP法は、参加者の関係性を相互に重要視するベーシック・エンカウンター・グループの要素をもった事例検討のスタイルである。
★PCAGIP法では、参加者は事例提供者や助言者の一方的な話を聞くというスタイルではなく、課題の解決に向けて主体的に参加する。また、事例提供者に対しては課題解決への活力を促し、教職員間の協働を促進する効果が期待できる。

連載

学びの理論知を実践知につなぐ-「学びの壁」を乗り越えるために 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
目標準拠評価を教育に生かす⑵学習観と評価のあり方      教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
カリキュラム・マネジメント⑵中学校英語②個々の授業の構成を考える前に行うべき作業 埼玉大学・神奈川大学・早稲田大学大学院非常勤講師、元筑波大学附属中学校主幹教諭
肥沼 則明
事実を伝え、意見を述べる、自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(15)「自由記入型実験シート」と学習意欲を高める「ルーブリック」を活用した「書く」中学理科  立教英国学院
羽田 徳士
読解力の育成(15)中学校における説明的文章の読解授業-批判的な読みと探究活動で育む読解力- 筑波大学附属中学校教諭
秋田哲郎
真正の構成的グループエンカウンターによる学級づくり⑶1学期後半のポイント 大東市立諸福小学校教諭
齋藤麻依
大阪成蹊大学教授
米田 薫
学校コミュニティ危機への緊急支援⑶学校コミュニティ危機への備え 名古屋市スクールカウンセラー
山下陽平
教科書をひらいて授業を創る⑵いま求められる、教科書と授業のあり方-小学校算数編- 弘前大学教授
中野博之
新/教育統計・測定入門(2)テスト結果の表示 法政大学教授
服部 環
教育の窓(53)櫻井茂男著『無気力から立ち直る-「もうダメだ」と思っているあなたへ』金子書房、2021年 福井県立大学教授
黒田祐二
新しい教育評価の動向/主要論文の概説(64)R・サドラー「中等教育での保健体育の評価基準」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
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