【緊急メッセージ】不登校を防ぐ対策を  諸富祥彦

6月から学校を再開する地域もあると思いますが、学校に戻れず不登校になる生徒が急増するのではないかと心配しています。もしかすると例年の2倍以上,あるいは3倍くらい不登校の子どもが増えるのではないでしょうか。この対応に教員もスクールカウンセラーもてんてこ舞いになって追われるのではないかと心配です。全国の教育委員会が総力をあげて,文科省ももちろん含めて,対応に早急に乗り出すべきだと思います。

休校期間中は、いわば日本中の子どもすべてが強制的な不登校状態でした。私は,潜在的な不登校傾向をもつ子どもというのが,実際の不登校の子どもの約5倍~10倍いると思っています。

潜在的な不登校傾向というのは,引きこもりがちな子ども,引きこもるのが本当は好き,学校に行ってアクティブにみんなとワイワイするのがそれほど好きではない,という内向的な子どもです。

潜在的に不登校傾向をもっていて,でも何とか我慢して我慢して自分を叱咤激励して登校していた子どもが,ふだんの夏休みと違って,いつ戻るか分からない,もしかしたら学校に行かなくてよい状態は永遠に続くんじゃないか,という今回の強制的な不登校状態を一度体験してしまったら,「もう行けない,そんな急にもとの生活に戻れと言われても戻れない」となってしまうと思います。

大人でもそういう方がいると思うのです。在宅勤務を命じられステイホームしていたのに,「いきなり会社に出勤せよと言われても,そうはもとのリズムに戻れないよー」と出勤拒否,不出勤になって,もしかすると退職される方もいるかもしれません。もとの生活に戻れなくなる人が,ずいぶん出てくるのではないかと思います。

いまこそ教育カウンセリングの出番です。やるべきことは,人間関係の復旧作業です。学校が始まったら,ぜひエンカウンターを。マスクをし,互いの距離をとりながら,身体接触はしない,などの配慮をしながらでも,人間関係を,ある程度のワイワイを取り戻していかないとまずいと思います。

たとえば,好きな食べ物,好きな遊び,好きなテレビ,などのテーマを紙に書いて,4人1組あるいは5人1組くらいで,ちょっと距離をとりながら紙に書いたものを読んでいって,一人の人がそれについて語ったら,肯定的なフィードバックを送る。「いいねー」と言って,拍手。
1人2分で,5人1組の場合は,5人×2分で10分です。1つ目のテーマが終わったら別のテーマで。3つのテーマをやって30分です。

いまは勉強を取り戻していくのに忙しいでしょうけれど,1日1テーマ10分でいいから,ショートエクササイズでいいから,学校が始まったらすぐエンカウンターやるべきだと私は思います。人間関係の復旧作業をできるだけ早急にしていかないと,「来てみたはいいけど,やっぱり無理!」と学校に来れなくなる子どもがどんどん増えていく。

最初のスタートダッシュが肝心です。最初の1週間でリズムと人間関係をとり戻してもらわないと,「無理だ,もとに戻れないよー,もうぼく家に一人でいるほうがいいや」となってしまって,不登校になってしまう子どもが一気に増えるのではないか,と心配しています。

予防が肝心です。こまめにこまめに,10分ほどのショートエクササイズを最初の2週間くらいは毎日のようにしてください。だれでも安心できるようなテーマ――好きな色,好きな遊び,好きなテレビ,好きな食べ物,などの無難なテーマで。
そうすることによって少しでも人間関係の復旧作業を行ってほしいと,私は思います。これが全国の学校の先生方,そして教育委員会の方々への,カウンセリングを専門とする私からの緊急メッセージです。ぜひよろしくお願いいたします。

(5月21日に収録された動画の内容を編集部にて再構成)

諸富祥彦のホームページ
諸富祥彦のホームページ。明治大学文学部教授、学びを気づきの心理学研究会「アウエアネス」主宰。日本トランスパーソナル学会会長、教師を支える会会長
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