「深い学び」の科学 北尾倫彦 著

新学習指導要領で求められる「深い学び」の実現に向けて、具体的に何をどうすればよいのか。 この問題に対して本書は、教育心理学・認知心理学の視点から、「深い学び」のとらえ方、具体的な授業 イメージ、指導方法などを提案する。

著者は、記憶の研究からキャリアをスタートした生粋の教育心理学者である。内外の心理学研究の知見 と、著者自身が全国の学校を回って見聞きした授業を自在に結びつけながら、熟練の手さばきで「深い学び」を読み解いていく。

巻末の附表「深い学びの観点、方略、具体策」も、深い学びを実現するための実 践に役立つであろう。以下、本書の「はじめに」より、著者のメッセージを引用する。

 最近の教育論では〝精緻化〟という聞き慣れない言葉が飛び交うようになった。(中略)また授業研究 会で〝メタ認知〟という言葉を何回も口にする若い先生がいたので、「この授業でメタ認知が問題になる のはどこですか」と尋ねても、答えていただくことができなかったこともある。
 このような体験が本書を執筆しようと思ったきっかけである。
これらの言葉は心理学の用語であるが、そのまま解説しても読んでいただけないであろう。堅苦しい本に なるからである。そこで授業の実際場面に目を向け、子どもたちのどのような学びが精緻化であり、どの ような学び方がメタ認知的であるのかを解き明かすのが良策ではないかと考えた。
 もちろん心理学の実験や研究を踏まえて理論的背景を必要最小限だけはきちんと説明するように心掛け た。理論に基づく実践でなければ広く普及することなく、いつの間にか消滅してしまうからである。
このような本であるが、この中から役立ちそうなアイデアを見つけ、先生方が論じ合ってそれぞれの学校 の改革につないでほしいと思う。多忙な日々であることはよく承知しているが、冒頭に述べた現状のまま では子どもたちが改革の犠牲者になってしまうからである。先生方の熱意と英知に期待したい。

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