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特集
❶令和6年度全国学力調査の分析/令和6年度全国学力調査の概要
❶令和6年度全国学力調査の分析/小学校国語
★平均正答率は昨年度とほぼ同じだが、無解答率の減少などから一定の指導の成果がうかがえる。★今後の授業改善の方策として、相手をより意識した指導、事実と感想、意見とを区別する指導、「読むこと」と読書活動の関連付け、知識・技能の継続的な指導、ICTの有効活用などを指摘した。
❶令和6年度全国学力調査の分析/中学校国語
★中学校国語で見えてきたのは、図や発言の役割また表現の工夫の効果などをメタ的に捉える力の弱さ、文章を分析的に捉える力の弱さ、文章の核となる段落・文を捉える力の弱さである。これらはいずれも現在の国語の授業の弱点と見事に連動している。図表・例示・事柄・発言の役割や位置そして表現の工夫の効果を把握する学習、文章・作品を分析的に読む学習、論理関係を捉える学習を授業で行う必要がある。
❶令和6年度全国学力調査の分析/小学校算数
★算数科では、数学的活動の文脈を設定した出題により、児童の数学的な知識・技能や思考力・判断力・表現力が評価された。調査結果は、構成要素や位置関係に着目して図形の計量を考える問題や単位量当たりの大きさの問題等で、深い理解を伴う知識の活用や数学的な見方・考え方の働きという点での課題を示しており、学習指導での数学的活動の一層の充実が期待される。
❶令和6年度全国学力調査の分析/中学校数学
★数学科では、基本的な知識・技能に関して一定の成果が見られたが、試行錯誤や熟考を要する問題に対する思考・表現には課題が残った。特に、具体的な数と文字式を往還して考えることができない点や、記述式問題における説明の難しさが指摘される。具体的な数を使った試行錯誤や、生徒の考えを基に論点を焦点化して理解を深める授業が求められる。また、文脈を重視した大問の構成は今後の授業づくりに積極的に活用したい。
❷教育虐待/教育虐待・教育ネグレクトとは
★教育虐待とは、子どものやりたいことを考慮せず、親が一方的に教育やしつけを押しつける行為で、体罰はもちろん、能力を超える目標を強いたり厳しく叱責したりする行為である。教育ネグレクトとは、子どもに最低限必要な教育を受けさせないことである。★教育虐待や教育ネグレクトを親とその子どもの問題に限定することなく、日本の教育システムの課題と認識することも重要である。
❷教育虐待/「いい子」であることを強いられる子どもたち
★1970年代に中井久夫が報告した成績に異常にこだわる小学生は、親を喜ばせることが目的だった。現代においても、同様に「いい子」を強いられ心身不調を呈する子どもは多い。わが子の幸せを模索した挙げ句の極端すぎる親の過干渉と、その期待に応えようとする子どもとの不幸なマリアージュが引き起こす「教育虐待」。その原因の一つに過度な睡眠剥奪が考えられ、それを改善するだけで症状を軽減できうる。
❷教育虐待/子どもをコントロールするかかわりからの脱出-アドラーの「勇気づけ」をもとに-
★教育虐待を広義のマル・トリートメント(大人の子どもへの不適切なかかわり)と理解すると、そのような事例は枚挙にいとまがない。子どもの自殺だけでなく、不登校もいじめも、子どもがよく育つことができないという点で、不適切なかかわりの集積結果といえる。その未然防止となるのは、玉石混淆の子どもへのかかわりを整理することである。
❷教育虐待/家庭を孤立させない保護者支援・子育て支援
★少子化・核家族化が進むなかで繰り広げられる子育ては、ときには閉鎖的になり、保護者の意図が強く働きすぎることで、教育虐待等の悲しい結果をもたらすこともあります。本稿は、著者の専門領域である乳幼児期の子どもの発達とその支援という観点から、現代の子育ての闇にふれ、家族の子育てをどう支えるか、その支援について考えます。
❷教育虐待/学校は何ができるのか-学校を保護者が立ち止まることのできる場に-
★「教育虐待」とは何か。その特徴と教育虐待が起こる背景を概観し、筆者が体験した学校における二つの事例から課題を掘り下げ、教育心理学的に親と子の心理から見えるものを分析する。さらに、エデュケーショナル・マルトリートメントの概念から学び、保護者を支える家庭教育のあり方について、学校にできることを探る。
連載
巻頭言/不登校34万6482人から考える | 東京家政大学教授 平山 祐一郎 |
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ここまでは押さえたいⅡ目標準拠評価を教育に生かす(29)理科の評価(2)学習指導要領の「思考力・判断力・表現力等」記載の充実 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
読解力の育成(小学校実践編)(18)リフレクション型国語科授業の展開(3)~高学年における問いでの読み合いと問いの評価の場面を中心に~ | 筑波大学附属小学校教諭 白坂洋一 |
生徒との対話を通して個別最適な学びをめざす 書く力を中核とした授業改善(9)「手で書くこと」と「GIGA端末」-使い分ける人間の能力を錬磨する- | 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭 町田 憲二 |
言語技術としての「事実と意見の区別」(10)国際的な理科/科学教育の動向と「事実と意見の区別」 | 宮崎国際大学教授 中山 迅 |
述べる・説明する・論じる 認知的な動詞の意味(6)「発展させる」「評価する」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
新しい教育評価の動向/主要論文の概説(67)「生徒に秘密を明らかにしよう:学習の改善のために、クライテリア(特性)とスタンダード(程度)が働くようにするためには」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
自伝的論考-学問的理論の発展と人間性教育(1)学問的素養の育成と人間性教育 | 大阪教育大学名誉教授 北尾 倫彦 |
宿題と家庭学習(4)発見型の授業を支える宿題-物理ぎらいを解消するための工夫- | 東京大学大学院 教育学研究科 博士課程 髙橋幸太郎 |
「ほめる」を考える(10)学級ソーシャルスキルの考え方を用いて子どもにほめ方を教える | 都留文科大学准教授 武蔵由佳 |
熟達教師たちの「実践知」を語る(2)熟達教師の「学びへの眼差し」5つの特質 | 日本赤十字秋田看護大学准教授 岩本宏幸 |