月刊誌 指導と評価

2024年 3月号
  1. 2024年 3月号 vol.70-3 No.832  定価:450円
特集
❶学習評価⑴学習評価の目的-形成的評価と総括的評価×妥当性・信頼性❷子どもの性被害・性加害
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特集

❶学習評価⑴学習評価の目的/学習評価で考えるべきこと

東北大学教授  宮本友弘

★現行学習指導要領の下での学習評価では形成的評価が重視され、教師の指導改善もさることながら、児童生徒自身による学習改善へ役立てることが求められている。
★また学習評価の基礎的要件は妥当性・信頼性(・実行可能性)である。
★これらの視点から、評価の諸相(目的・機能、測ろうとする学力、評価方法、手順)について理解しておくことが大切である。

❶学習評価⑴学習評価の目的/検査における妥当性・信頼性

法政大学教授  服部 環

★さまざまな評価方法について妥当性・信頼性が考えられるが、もともとは検査について考えられた概念(要件)であった。本稿では主に検査についての妥当性・信頼性について述べる。
★妥当性は検査で測ろうとした構成概念を実際に測定している程度、信頼性は検査で一貫して同一の得点が得られる程度である。
★どの評価方法でも高い妥当性・信頼性があることが望ましいが、ともに高めることは難しく、また評価する目的によって求められる程度は異なる。

❶学習評価⑴学習評価の目的/さまざまな評価方法と妥当性・信頼性

京都大学准教授  奥村好美

★学習評価を行う際には、育てたい学力・学習の質をふまえて、また妥当性や信頼性を視点として評価方法を選ぶことが重要である。評価方法は、筆記テストや実技テストで評価可能な方法とパフォーマンス課題とに大きく分けられる。本稿ではそれぞれの評価方法の例を具体的に取り上げながら、その妥当性や信頼性について言及したい。

❶学習評価⑴学習評価の目的/形成的評価の基本的な考え方

京都大学准教授  石井英真

★形成的評価は、子どもの学習活動を受けて行われる瞬時の対応やフィードバックの中に埋め込まれており、「指導と評価の一体化」の前に「目標と評価の一体化」を意識することが重要である。さらに、教師が評価を指導改善に生かす(「学習のための評価」)のみならず、学習者自身が評価を学習改善に生かしたり、自らの学習や探究のプロセスの「舵取り」をしたりすることが重要である(「学習としての評価」)。

❶学習評価⑴学習評価の目的/総括的評価

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★一定の学習活動が終了した時点で、その間の学習の進歩や成果がどの程度だったかを示すのが総括的評価である。
★総括的評価の別の機能として、アカウンタビリティ(説明責任)を果たすために用いられることがある。学校や教師が学習指導としてどの程度の成果をあげているかを保護者や社会に示す役割である。

❶学習評価⑴学習評価の目的/自己評価

和歌山大学教授  二宮衆一

★自己評価は二つの役割を持っている。一つめは子どもの自己評価を媒介に教師が自らの授業を改善する役割。二つめは学習者である子どもが自らの学習成果を確認し、改善のための判断・決定を行う中でメタ認知の力を養う役割である。子どもの理解の内実を可視化させる工夫とメタ認知能力を培う学習の場として自己評価活動を計画していくことが、教師に求められている。

❷子どもの性被害・性加害/子どもの性をとりまく状況と中学生向け包括的性教育の実践

和歌山県立医科大学小児成育医療支援室主事  藤田絵理子

★学校現場における児童生徒への性被害の現状を確認することで、その対応策としての取組に焦点を当てます。学校が安全安心な教育的な拠点として、信頼関係に基づく温かい居場所となるために、子どもたちの発達段階に応じた人権教育を含む包括的な性教育が鍵となります。予防教育の役割として、地域連携による教育実践を紹介します。

❷子どもの性被害・性加害/性被害児の心理とケア

和歌山県子ども・女性・障害者相談センター(非常勤)  松岡 円

★昨今「性被害」や「性加害」ということが取りざたされるようになり、被害者の年齢性別を問わず、その深刻さが重要視されるようになった。しかし、日常生活の中で「性」にまつわる話題は依然としてタブー視されており、当事者として語り合う機会は少ない。「性被害」は身近に存在しているにもかかわらず、その現実にいざ直面したとき、どのように対応すればよいのか、具体的にイメージできるものは少ないだろう。まずは、被害の実態を知ったうえで、被害者にどう寄り添い、回復を支援することができるか、筆者の経験も含め考察した。

❷子どもの性被害・性加害/性暴力加害児の心理とケア

和歌山県立仙渓学園 心理療法担当職員  岩田智和

★児童福祉の現場では、性暴力加害児が増加傾向にあり、その対応が喫緊の課題となっている。性暴力加害児のケアにあたっては、その背景や心理、真の欲求を理解することが重要である。あわせて、包括的なアセスメントに基づく、心理社会的アプローチが有効と考える。その際、性暴力加害児がもつ被害者性と加害者性の両側面へのケア、および学校などの関係機関による地域サポート体制の構築が必須といえる。

❷子どもの性被害・性加害/軽度の知的障害や発達障害のある子どもの性の学習-語り合い学ぶ、かけがえのない性-

和歌山大学教育学部講師  北岡大輔

★本稿ではまず、知的障害や発達障害のある生徒がかかえやすい性に関する課題について述べる。次に、それらの課題を踏まえたうえで、生徒自身の性に対する主体的な態度を育てることをねらいとした授業例を紹介する。これらの授業では、性に関することについて自分はどのように感じているか考えているかなどを、生徒が安心して言葉にしたり表現したりすることができるような場の設定や教材の工夫を試みた。

❷子どもの性被害・性加害/子どもたちの性的自立を目指した支援のために教師が知っておくべきこと

東京医療保健大学助手  鶴岡尚子

★特別支援学校における保健室での個別指導を通じた生徒との対話から、学校の性教育では性的自立に必要な知識が十分に提供されていないことを捉え、それらを現在の学校での性教育のすき間として指摘した。性について学ぶ権利保障の視点からも、生徒たちの性的自立を見据えた段階的な学習を構築するとともに、教師が包括的性教育について学ぶことが不可欠である。
★性被害/加害の問題には、人権侵害であるという共通認識をもって対応にあたることが重要である。

❷子どもの性被害・性加害/学齢期に必要な性の学び

埼玉医科大学助教/産婦人科医  高橋幸子

★私は産婦人科医として性教育を専門としています。外部講師として学校現場でお話しする立場から、また思春期外来から見えている子どもたちをとりまく環境についてお伝えしたいと思います。
★最終的に性教育のゴール「どんな行動ができる大人になってほしいのか」の共通認識を皆で一緒に考え形成し、共にかなえるための多職種連携をしていきましょう。

連載

巻頭言/学習評価の実務上の困難打開に役立つシリーズ 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
ここまでは押さえたいⅡ目標準拠評価を教育に生かす(22)社会科の評価(4)目標準拠評価に必要な通年の評価基準と詳しい評価事例集 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
算数科で育てる「思考・判断・表現」する力(11)立方体の展開図 筑波大学附属小学校副校長
夏坂 哲志
読解力の育成(小学校実践編)(10)説明的文章の系統指導(2)-低・中学年 筑波大学附属小学校教諭
青木 伸生
漢字を教える・学ぶ(7)教室と家庭での漢字の学び 川崎市立はるひ野小学校教諭
土居正博
「叱る」を考える(12)「こうあるべき」思考が生み出す叱りの循環 杉並区立済美養護学校主任教諭
川上康則
子どもを真ん中に置いた支援(6)非行少年に対する家庭裁判所と学校の連携 江戸川大学教授
室城隆之
「あきらめる」を肯定的にとらえる(12)あきらめることとキャリア教育② 十文字学園女子大学准教授
永作 稔
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