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特集
校内研修のあり方、進め方
★校内研修は、教師が子ども一人一人の顔を思い描きながら、指導の計画を立て、実施し、教育実践についての見取りや学習物を証拠として評価する点で、職能成長のための有効な手だてである。
★校内研修を円滑に進めるために、①新採用の教師や若手教師がメンター教師に気軽に悩みを打ち明けられる「問題相談型」の研修と、②中堅以上の教師に多いが、実践上の問題があると思われるが、本人が気づいていない場合に適用する「問題発見型」の研修を実施したい。
★公開研究会としての校内研究は、原則的には全員が授業を公開し、検討会では、授業者の事前説明を最小限にし、参加者からの温かい意見や感想を拾い上げ、改善点についてもふれながら、授業者自身に今後の職能成長の抱負を語らせることが重要である。
伝統を継承した校内研修の実践
★伝統校としてのこれまで先輩たちが築き上げてきた「研究体制」を継承する中で、新たな「研修の工夫」を取り入れながら、充実した研修を実践している。
★「研究の成果は子どもの姿で」をモットーに「子どもに力をつける楽しい授業はどうあればよいのか」を語り合える同僚がいることもとても重要である。
外部講師を招いた校内研修でチーム力を向上する
★児童が学ぶためにモデルが必要であるのと同様に、教師が学ぶためにもモデルが必要である。教師の指導を力を高めるために、東小学校では指導力をもった外部講師をお招きして、示範授業をしていただき、授業の組み立てや児童への対応を学ぶ。さらに、当校教師の授業を診断していただく。外部講師の授業を見て学び、自分たちの授業を見てもらい、指摘を受けて学ぶ。このような段階を経た校内研修を繰り返し組織することによって教師の指導力は向上する。
若手教員を組織的にサポートする校内研修体制を
★教育をとりまく環境が大きく変化し、また若い教員が増える中、学校全体としての教育力を高めていくため、「若い教員」の指導力向上は喫緊の課題である。
★筆者の勤務校では、「若手教員力量アップ講座」を設定している。勤務時間後の午後5時から1時間程度、年間十数回実施している。授業づくりをはじめ、学級づくり、特別支援教育、教育相談などを、講座内容に合わせ、講義、事例研究、演習といった効果的な形で実践している。参加者にはとても好評で、今年度で4年目を迎える。
中学校の校内研修の実践
★中学校は教科担任制であるため、校内での授業研究は実施しにくい。筆者の勤務校では、月1~2回、全教員による研究会を設けているが、その内容は授業に関するものは少ない。
★授業に関する研修の機会としては、年1回実施される公開の研究会のほか、最近は校内で全教員の参加による授業研究会を実施し、異教科間での意見交換を行っている。
★そのような特別に企画された研究会は、よい研修の機会であるが、大切なことは、日々の仕事を通じての研修であり、同僚どうし士が気軽に授業を見学できるような雰囲気づくりが大切である。
校内研修の進め方について
★校内研修の重点を、課題解決学習を通して学び合い、思考力・判断力・表現力を育成すること、とした。
★「追究型」の課題解決学習がむずかしい教科(数学や英語など)では、一つのパフォーマンス課題を複数の題材を通してその解明に迫る「解明型」のアプローチを取り入れることで、全教科で推進していった。
★事前研修は教科ごとに教材や授業展開の研究を、事後研修では学年ごとにSWOT分析の手法によって授業を考察した。二年間でパフォーマンス課題の作り方に上達したこと、何より全教員が教科の枠を超えて一体感をもてるようになったことが成果と言える。標準検査SETを実施し、客観的な数値として生徒の伸びも確認できた。
校内研修への教育委員会のサポート
★教育委員会は、各学校が地域や子どもたちの状況に応じ、より質の高い教育実践をめざして校内研修を推進していけるよう、積極的にサポートする。
★指導主事は、現状を改善するため各学校にとって「必要な研修」と、教職員が「求めている研修」を適切にコーディネートする。
★教育心理学等の理論や研究、また、学習指導要領などのナショナル・スタンダードに基づきながら、各学校が実情に応じ主体的に校内研修を進めるローカル・オプティマムをつくりあげる。
校内研究のあり方、まとめ方
★校内研究や研修をまとめた研究紀要は、関わった教員たちの実践を各自の思いで記録するというレベルから、その成果が他校の教員たちや研究者の参考になる資料としての特性をもつことが求められる。さらに、校内の全教員の問題意識と行動の共有化を確実に行って取り組むことが、各学校の教育実践力の向上につながり、結果として外部の評価に耐えうる研究紀要をまとめる前提になる。
連載
思考力・判断力・表現力を育てる指導と評価(3)思考力・判断力・表現力の評価方法(2)課題解決評価 | 国立教育政策研究所総括研究官 山森 光陽 |
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これからの評価を考える(4)信頼される評価とモデレーション | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
特別支援教育に取り組む(4)「中学校の通級指導教室」 | 東京都杉並区立済美教育センター教育指導係指導教授 月森久江 |
学級ソーシャルスキルを子どもに育てる(5)学級ソーシャルスキルの定着と学級づくり-小学校高学年 | 山形県東根市立大富小学校教諭 笹原英子 |
アドラー心理学で教師力を高めよう(4)家庭での学習や生活 | Hearty Smile代表 原田綾子 |
これからの小学校国語の授業づくり(17)「話すこと・聞くこと」2年生 | 筑波大学附属小学校教諭 桂 聖 |
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(74)-小学校6年、文字を使った式 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
小学校理科の授業づくり(5)5年A「電流の働き」 | 文部科学省教科調査官 村山哲哉 |
小学校英語活動のポイント(40)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法-その20(指導の基本10) | 国立教育政策研究所名誉所員 渡邉 寛治 |
教育統計・測定入門(5)種々の相関係数と連関係数 | 法政大学教授 服部 環 |
標準検査を活用した教育実践(15)標準学力検査結果を活かして「教師が自らの指導を振り返り」、子どもの学力向上をめざした長野市の取組 | 前長野市教育センター所長 宮下 袈裟登 |
学校の法律相談(16)保護者のプレゼントは受け取ってよいか | 国立教育政策研究所名誉所員 菱村幸彦 |
だんわしつ/教育と人生観について思うこと | ノンフィクションライター 三山 喬 |
ひとりごと/原稿が活字になった! | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |