月刊誌 指導と評価

2020年 11月号
  1. 2020年 11月号 vol.66-11 No.791  定価:450円
特集
❶休校明けの授業の工夫❷キャリア・パスポートをどう生かすか
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特集

特集❶休校明けの授業の工夫/小学校国語「脱“教科書”」

東京学芸大学附属竹早小学校教諭  曽根朋之

★授業時数が削減された中で何に重点を置き、何を簡略化するために大きく三点述べていく。①文学的な文章でどのように重点を置くか。②第三次の言語活動の目的を確認したうえで時数が少ない活動を選択するポイント。③国語科の学びを顕在化させながら他教科と合科的に行うこと。

特集❶休校明けの授業の工夫/中学校理科

筑波大学附属中学校副校長  新井 直志

★休校明けの授業は、学習時間が限られてくるので、実験や観察などを精選したり、教材や方法について設計し直したりすることが求められる。学習指導を計画するうえでは、臨時休業中に生徒が自宅で行った学習を生かすことで、授業の組み立て方、展開も変わってくる。いままでとは異なる授業設計の機会は、新しい授業方法の検討や、生徒に学ばせたい内容、身に付けさせたい資質などを考え直す大切な時間となる。

特集❶休校明けの授業の工夫/中学校英語―困難な状況下で改めて見直す中学校英語科指導の大切なこと

筑波大学附属中学校副校長  新井 直志

★休校明けの授業の工夫のキーワードは、①“常識”を見直す・変える、②大切なことを落とさない、③あせらない、の三つである。①では、「すべてを教える」から「軽重をつける」へと「教える」から「自ら学ぶ」へが重要である。②では、双方向のやりとりと音声を大切にした指導が重要である。③では、教えなくても生徒は育つ、「とりあえずやった」ことにしない、生徒を置いていかない、ということが重要である。

特集❶休校明けの授業の工夫/休校明けの小学校体育科カリキュラムと授業の工夫

筑波大学附属小学校教諭  平川 譲

★カリキュラム再構成にあたり、体育科は、他教科以上に学習の適時性を重視しなければならないという特性がある。その視点は、以下の四点である。⑴運動教材の適時性を重視する。⑵子どもが自らの伸びを感じられる教材を優先する。⑶簡単・手軽な運動教材とする。⑷生活化しやすい運動を重視する。
★授業中の注意点は、三密と不必要な発話を避けることである。

特集❷キャリア・パスポートをどう生かすか/キャリア・パスポートとは何か

筑波大学教授  藤田 晃之

★「キャリア・パスポート」とは、児童生徒が学級活動・HR活動を中心に、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、小学校から高等学校までの自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのことである。★このようなキャリア・パスポートが所期の役割を果たすためには、児童生徒一人一人に対する先生方の対話的なかかわりがきわめて重要である。

特集❷キャリア・パスポートをどう生かすか/キャリア・パスポートとキャリア発達

愛知教育大学名誉教授  坂柳恒夫

★キャリア発達を促すキャリア教育で大切なことは、学んだことを振り返り、見通しをもつことを繰り返すことである。その実施にあたり期待されているツール(教材)がキャリア・パスポートである。
★キャリア・パスポートは、児童生徒にとって、学年や校種を越えて自己を見つめ、これからの先の見通しにつなぐものとして、また教師にとって、児童生徒と対話的にかかわり、児童生徒理解を深めていくものとして活用することができる。

特集❷キャリア・パスポートをどう生かすか/なりたい自分になるために~小学校での実践~

東京都板橋区立中台小学校長  海藤美鈴

★中台小学校では、以前より「未来ファイル」としてキャリアパスポートに取り組んでいる。キャリア教育の研究主題を、「なりたい自分になるために」と、児童にわかりやすいものにした。児童が学校、家庭および地域での各活動への見通しをもち、自らの目標を設定して、その実現に取り組み、振り返りを繰り返し行い、自己評価できるように工夫した「なりたい自分カード」に取り組んでいる。
★教師が対話的にかかわり、児童一人一人の目標修正や改善を支援することで、児童がさらに自己のキャリア形成に向かう力を高めている。

特集❷キャリア・パスポートをどう生かすか/生徒の成長をキャリア・パスポートでつなぐ~中学校での実践~

東京都世田谷区立深沢中学校主任教諭  深沢享史

★小学校から中学校までの特別活動をはじめとしたキャリア教育にかかわる活動について、学びのプロセスを記述し、振り返ることができるポートフォリオ的な教材「キャリア・パスポート」を作成することが求められている。主体的な学びに向かう力を育て、自己のキャリア形成に生かすために活用することが期待されている。
★本稿では、「キャリア・パスポート」を学校教育活動内にどのように位置づけ、実践しているのか。また、その効果をより高めるために取り組んでいることを紹介する。

特集❷キャリア・パスポートをどう生かすか/生徒の学びを「縦」にも「横」にもつなぐ~「キャリア・パスポート」高校での実践~

島根県立吉賀高等学校教諭  中村美楠子

★生徒の学びを縦にも横にもつなぐ役割を果たしてくれる「キャリア・パスポート」の作成までに必要だと思われるプロセスと、実践してわかったその効用を紹介する。
★新学習指導要領において育成をめざす「学びに向かう力、人間性等」の評価においても重要なツールとなる「キャリア・パスポート」。生徒の自己理解、教員の生徒理解両面においても有用である。

今月号のイチオシ!!ここまでは押さえたい学習評価(7)評価方法(評価に用いる手段)-多肢選択式からパフォーマンス評価、ポートフォリオ評価まで

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★以下5つの評価方法について、特徴を検討する。それぞれ利点と課題があり、複数を組み合わせた利用が現実的だ。①多肢選択式の利点は、一度に多くの事項についてテストできること、信頼性がとても高いことだ。反面、これだけを多用すると学習者の学習方法・学習観・学力観に悪影響がある。②解答制限のあるテストとは、短答式(再生式)から、短文で答えさせるテストまである。利点は、一度に多くの問題を解かせることができ、出題・採点基準の工夫よりかなり信頼性も高まる。③論述式は、解答や採点が当を得るよう論述する範囲を指定するなど出題の仕方を工夫しなければならない。思考を測れる一方、信頼性が低い。④パフォーマンス評価は、実際にできることを評価する方法で、妥当性は高いが、時間がかかることと、信頼性が低いことが難点だ。⑤ポートフォリオ評価は、文脈における成果(解答や作品)を選択して保存する。

連載

巻頭言/三密と過疎 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
評価規準の作成と活用/小学校図画工作 東京学芸大学教授
西村德行
小学校英語の指導と形成的評価(5)学びに向かう力の指導と評価(外国語の学び方) 新潟大学教授
松沢 伸二
「主体的・対話的で深い学び」を創る(17)小学校社会第四年『くらしを支える水』を通して 筑波大学附属小学校教諭
由井薗 健
中学校社会科で主体的・対話的で深い学びを創る(6)「問題解決的な学習」を通して、他者と学び合う力を鍛え上げる社会科学習の研究~発言~ 筑波大学附属小学校教諭
由井薗 健
教育統計・測定入門(89)認知診断モデルの基礎 法政大学教授
服部 環
新しい教育評価の(60)A・チャイルズ、J・ベアード「GCSE試験と科学の実験・観察活動:評価政策の歴史を振り返る」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
教育相談はこう学ぶ!(20) 社会やニーズの変化に対応しうる専門性を育てる 岩手県立総合教育センター研修指導主事
熊谷宗紀
「概念」を教える・学ぶ(7)概念学習のための学習者特性 東京学芸大学名誉教授
河野義章
知的交流を取り入れたSGE(2)研究室の学生たちとのゼミでの活動-自律教育カウンセリングの実践 早稲田大学教授
河村 茂雄
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