- トップ
- 指導と評価
特集
特集❶休校による学力低下を防ぐ/わが国における学力論の現在と学校教育の任務
★法的には「学力の三要素」や「資質・能力の三つの柱」がわが国の学力論であるがこれらは、子どもは有能な学び手であるという事実認識に立脚している。そこでは、子どもがインフォーマルな知識を存分に生かして学べるようにするとともに、表面的には違って見えるさまざまな事物や現象が、同じ原理の異なる現れであるという統合的な概念的理解を促すべく、「見方・考え方」を押さえた指導を推進していきたい。
特集❶休校による学力低下を防ぐ/授業づくりの深め方
★教材を介して教科の深みへと誘う、共同注視の関係性を軸にした、触発的で媒介的な指導性こそ、子どもたちと学びや生活の物語を共有しうる教師の仕事の強みである。
★授業を組み立てデザインする過程には、判断の節目を形成する問題領域(五つのツボ)を見いだすことができる。判断の節目で教師が出す答えの妥当性が、授業の成否を左右し、それぞれの判断のポイントにおける一般的な原則を学ぶことが重要となる。
特集❶休校による学力低下を防ぐ/学習意欲の重要性
★子どもが主体的・対話的に深く学ぶには、学習意欲、とくに「自ら学ぶ意欲」の形成と維持が大事である。休校時でも休校明けでもそれは同じ。自ら学ぶ意欲を育てるには、知的好奇心、有能さへの欲求、向社会的欲求、自己実現への欲求を刺激し、学習活動を通してそれらを充足させることがポイントとなる。休校明けでは心身のストレスで自ら学ぶ意欲が減退していることも多い。ケアをしながら授業を進める必要がある。
特集❶休校による学力低下を防ぐ/オンライン学習と教室での授業を組み合わせる
★コロナ禍での学習で大切にすべきことは、子どもの学習へ向かう気持ちである。学習内容をいかに習得させるかに目を向けるのではなく、まずは子どもが学習を楽しみながら学びに向かう気持ちをいかに保障するかを考えた。
★「問題を見いだす力」に焦点を絞ったオンライン学習と教室での授業を組み合わせることで、子どもの学びを充実させることができた。
特集❶休校による学力低下を防ぐ/標準学力検査NRTを活用しての学力保障-学力低下を考える
★コロナ休校は、子どもたちの生活面、学習面に大きな影響を与えたと考えられる。なかでも、自分で生活環境や学習活動を整えることがむずかしい児童生徒に、より深刻な影響を与えた。
★学力の定着について確認する際に、経年比較が課題となる。しかし、それは単純なかたちでは検証できない。等化されたテストでないとむずかしい。
★標準学力検査NRTは、移行期にあって少しずつ問題を改訂して安定した尺度作成を行っており、経年比較の資料になると考えられる。
特集❷コロナ禍の影響による子どものストレスケア/ウィズコロナ下の子どものストレス
★新型コロナ感染拡大の影響で日常が崩れた子どもたちは、学校での経験や学びの喪失、友だちや教師との関係構築の機会喪失、自粛や学校再開など生活が激変したことによるストレス、感染の恐怖やデマなど社会不安によるストレスを経験した。ワクチンが実用化され、終息の兆しもわずかながら見えてきた現在、この経験を振り返り、実践知として蓄積することは、今後のパンデミックに備えた、学びを止めない学校の生活様式を構築するために不可欠である。
特集❷コロナ禍の影響による子どものストレスケア/養護教諭の立場からの見方や取り組み
★休校の影響による子どものストレスケアの実践について、養護教諭の立場から、学校心理学の心理教育的援助サービスの枠組みにそって整理した。
★一次的援助サービスとして、ストレスマネジメント教育、二次的援助サービスとして、心身の健康観察とそのフォローアップ、三次的援助サービスとして個別の健康相談があり、いずれも、養護教諭が管理職や関係職員と連携し、組織的に進めることが大切である。
特集❷コロナ禍の影響による子どものストレスケア/休校の影響による子どものストレスケア-小学校における取り組み
★わが校では昨年、始業式や入学式およびその後の休校に備えて学級指導を行い、四月九日から休校となった。その後、週一日の分散登校が週二日となり、次に午前中の全体登校を経て、六月八日から一斉登校再開となった。
★休校期間中も再開後も、児童は新型コロナウィルス感染症予防のため、マスク着用や手洗いを求められた。また、夏休みの短縮や暑さ等、多くのストレスが児童にあった。それらのケアに取り組んだ小学校のおもな実践を紹介する。
特集❷コロナ禍の影響による子どものストレスケア/中学校・高等学校における取り組み-危機管理の視点から
★「危機管理」という概念にはそれを転機に見直しをするという意味もある。ある中学校では感染拡大によるストレスを半数近くの生徒が感じていたが、日常生活のありがたさに気づき、感謝する生徒もいた。教員にも大きなストレスがかかったが、学習指導、学校行事、部活動、会議等を「前例踏襲」ではなく、知恵を出し合い、創意工夫を重ねて変えてきた面もある。子どものストレスは個人差が大きいので、症状が出た生徒には、より丁寧に向き合っていきたい。
特集❷コロナ禍の影響による子どものストレスケア/スクールカウンセラーの立場からの見方や対応
★二〇二〇年三月から五月の全国的な休校期間中の「子どものストレス反応」「教職員/家庭との連携」について、スクールカウンセラーの立場から実践を報告した。とくに、拘禁/解放ストレス反応への注意深い観察の必要性、緊急的手段である電話やメールによる支援の一定程度の効果、公立・私立にかかわらず緊急事態での学校内外の連携における教育相談コーディネーターの働きの重要性などを指摘した。
今月のイチオシ!!ここまでは押さえたい学習評価(10)評価から「何ができるようになったか」がわかるために-ドメイン(領域)と「進歩の段階」
★キーワード:●目標準拠評価とは、一定の評価基準と比較して、生徒の学習状況「何がわかるようになったか」「何ができるようになったか」を判断する。●しかし、広範囲の総括的評価では合算してしまうため、「何ができる(わかる)ようになったか」は不明確になる。●ドメイン準拠評価のドメイン(領域)とは、「明瞭に定義された行動主義的なもの」である。知識の評価に適する。●思考・判断・表現などは明瞭なドメインを設定できないので、「進歩の段階」を考えてそのどのレベルに該当するかというスタンダード準拠評価が適する。ルーブリックとは、「進歩の段階」を想定しない、特定の課題に即した評価基準をいう。●わが国では、①広範囲の総括的評価の意味を少しでも近づけるため、総括的評価の方法を今より統一する。②形成的評価・総括的評価のどちらも改善するために、「進歩の段階」を考えたスタンダード準拠評価の導入(思考・判断・表現の評価)に向けて実践研究する。が課題である。
連載
巻頭言/全国高等学校総合文化祭から見えた教育の原点 | 高知県教育委員会事務局高等学校課全国高等学校総合文化祭推進室 課長補佐 川田弘人 |
---|---|
小学校英語の総括的評価(2)聞くこと(リスニング) | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
「主体的・対話的で深い学び」を創る(19)「深い学び」を促す活用課題と説明行動-小学校理科五学年「ものの溶け方」 | 文京学院大学特任教授 森田 和良 |
新しい教育評価の動向(61)L・モレル、P・ブラックら「物質の構造に関して、生徒の理解の進歩段階を構成モデルにより考える」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
教育統計・測定入門(92)生存時間解析の基礎-カプラン・マイヤー推定法 | 法政大学教授 服部 環 |
「概念」を教える・学ぶ(10)正事例と負事例 | 東京学芸大学名誉教授 河野義章 |
教育相談はこう学ぶ!(23)社会の変化に合わせた教育相談研修 | 新潟県立教育センター教育支援課指導主事 土田謙吾 |
知的交流を取り入れたSGE(5)「知的交流」への違和感を見つめる-「知的交流」とは、SGEをベースにした知識の習得の交流のことである | 彩の国学舎くき学園 吉田 隆江 |