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特集
巻頭言/メタ認知をどうとらえ、指導に生かすか
特集➊メタ認知を生かした指導/メタ認知と学力の関係
★学習の計画を立てるためには、自身の学習状況を適切にモニタリングしたり、効果的な学習方法に関する知識をもっていたりする必要があるなど、メタ認知は主体的な学習を支える重要な要素である。そのためメタ認知は、それ自体が育成すべき力の1つであり、メタ認知が適切に働くことで学力(認知能力)の伸長が促される。一方で、人のメタ認知はそれほど正確ではなく、育成していくためには、メタ認知のむずかしさを知ることも重要といえる。
特集➊メタ認知を生かした指導/授業におけるメタ認知的活動をとらえる
★授業づくりや指導を考える視点としてメタ認知が注目されている。授業のメタ認知的活動をとらえる1つの方法として、児童生徒による自己評定式の測定尺度を用いることができる。授業中のメタ認知的活動には、授業の展開に応じてさまざまなものがある。授業中にメタ認知的活動に取り組む経験をさせると同時に、児童生徒が自らメタ認知をはたらかせることができるようになっているかを評価することが必要である。
特集➊メタ認知を生かした指導/非認知能力とメタ認知
★非認知能力・スキルには、①能力の自己概念②自己効力感③(内発的)動機づけ④粘り強さ⑤自己コントロール⑥メタ認知的方略⑦社会情動的スキルなど(これらは実証的に学力の改善につながるとされている)多種多様なものを含む。「学びに向かう力」には、これおよびメタ認知さらに社会的な関係の力など多様な変数を含む。これらの基底にある中心がメタ認知の前提としての「自己制御過程」であり、とりわけ「自己をコントロールする働き」(実行機能)だ。
特集➊メタ認知を生かした指導/メタ認知を促す授業づくり-「学び方アイテム」を使った指導の効果
★公立小学校6年生の理科授業をとおしてメタ認知を働かせる指導事例を紹介する。「学び方アイテム」というツールを用いて指導を行ったところ、子どもたちのメタ認知的活動が活性化される可能性がある。今後「学び方アイテム」の習得と学習成果との関係を検討する必要もある。
特別寄稿/標準化と適切なアセスメントを考える-標準化された検査の活用
特集❷自殺予防/コロナ禍における青少年の自殺の現状
★2020年の児童生徒の自殺者は499名(小学生14名、中学生146名、高校生339名)であった。前年(2019年、小学生8名、中学生112名、高校生279名)と比較すると100名25.0%の増加である(厚労省、2021)。児童生徒の自殺は見つけにくく、手遅れになりやすい。本特集では、思春期の死生観と抑うつ感、自殺予防教育の必要性と実践、世界の自殺予防教育を紹介する。子どもの命を守るのは、あらゆる教育活動の最重要課題で緊急の課題である。
特集❷自殺予防/思春期における死生観と抑うつ感
★自殺や自傷行為の増加が問題となる思春期の子どもたちを対象とした調査結果から、中学生を中心とした時期には、抑うつ感が強まり生への意欲が一時的に弱くなることが示された。死への恐怖が抑うつ感と負の関連があることからは、死の恐怖を取り去ることだけを求めるのではなく、死を受けとめたうえで、生きている“今”を大切にできるような取り組みが求められることが示唆された。
特集❷自殺予防/自殺予防教育の必要性と方向性
★児童生徒の深刻な自殺の実態と国の施策の動向をふまえ、すべての児童生徒を対象にした自殺予防教育の具体化を図ることが各学校に求められている。実施にあたっては、「①安全・安心な学校環境」を土台として整えたうえで、生と死の教育・ストレスマネジメントなど「②下地づくりの授業」を積み重ね、<心の危機理解>と<相談する力の育成>をめざす「③核になる授業」の3段階で展開されることが望まれる。
特集❷自殺予防/体験的学習を中心にした自殺予防教育
★思春期の子どもたちの心の危機に教員はどう向き合えばよいだろうか。教員研修を行ったうえで、体験的な学習を中心にした自殺予防の授業づくりに協働して取り組むことが求められる。いままで取り組んできた自殺予防教育プログラムの実際と効果について紹介する。
特集❷自殺予防/コロナ禍における児童生徒の心のケア-さいたま市の教育相談体制
★令和2年において、警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、児童生徒の自殺者数は前年と比較して大きく増加している。
★このような状況の中、さいたま市総合教育相談室では、悩みをかかえる子どもたちを早期に発見し早期に対応するため、さまざまな取り組みを行っている。以下、その内容について紹介する。
特集❷自殺予防/世界の自殺予防教育
★わが国での自殺予防教育をさらに進展させるため、海外での取り組みを概観した。教育と保健や健康・福祉など各側面からの実践が統合された取り組み、直接的に児童生徒や一般の人々にかかわる援助職や教育職に向けた研修、そしてすべての人々に向けたメッセージなど、各国・地域の特徴をふまえた工夫が見られた。これらを検討すると、日本での取り組みの発展に有益な示唆が得られるのではないだろうか。
今月号のイチオシ!実効ある目標準拠評価(3)ペーパーテストの改善:『思考・判断・表現』を評価する-中学校社会科(地理的分野)②
連載
「教師力」アップセミナー(4)子どもとともに成長する教師をめざして-対話の技!生徒指導 | 福岡教育大学教授 西山久子 |
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コラム/人間関係づくりのための基本姿勢⑴良いところを認めてあげようとする姿勢 | 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長) 岸川 央 |
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(6)「書き手を育てる」ということ-澤田・渡邉両氏の報告を読んで | 筑波大学教授 島田康行 |
読解力の育成(6)論理の型を知り、論理の妥当性を検証する | 「指導と評価」編集部 「指導と評価」編集部 |
いまどきの特別支援教育(6)当事者の視点から支援を考える② | NPO法人東京都自閉症協会 綿貫愛子 |
教育の窓(49)AIに支援されたこれからの学びとは(前編)-今後の学校教育が向かうべき方向性とAIとの関連について | 東京学芸大学教授 森本康彦 |
ガイダンスカウンセラーの挑戦(6)レバレッジ度の高い中高一貫校の特色ある教育 | 東星学園小・中・高等学校校長 大矢正則 |
学びを広げる・学びを深める(5)精緻化による深い学び | 茨城大学大学院教育学研究科准教授 宮本直樹 |
教育統計・測定入門(97)媒介分析と調整分析の基礎 | 法政大学教授 服部 環 |