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特集
➊令和五年度全国学力調査の分析/令和五年度全国学力調査の概要
★2007年から始まり、今回が第15回。全国の小6と中3対象に毎年国数と3~4年ごとに理英(英は中学のみ)を悉皆で調査する。
★中3英語「話す」で1人1台端末を用いたオンライン方式で行ったことは画期的だ。だが、問題は(身につけてほしい学力ではあるが)難しすぎた。
★調査結果を踏まえた授業のアイディア例が示されているほか、質問紙からは学力向上に効果的な授業改善策が明らかになった。
➊令和五年度全国学力調査の分析/小学校国語
★大問1、2では、複数の情報や資料を関連づける記述式の問題が出題され、正答率が低かった。また、情報と情報の関係を問う選択式の問題が複数出題され、これらも正答率は必ずしも高くなかった。さらに、言語活動からみると、報告することに関わる出題が複数あった。いずれもこれまでも課題があるとされており、改めて改善に取り組む必要性が確認された。
➊令和五年度全国学力調査の分析/ 中学校国語
★中学校国語の調査問題は、国語科の授業で取り組んでいる言語活動が、生活の中で生きて働くものになっているかどうかを問うている。調査結果には、国語科の学習が「紙上」で行う言語活動にとどまっている可能性や、ICT活用を進める上で留意すべき点が表れている。教室の外で使える資質・能力を育成するために、実践性の高い活動を授業に取り入れることが大切である。
➊令和五年度全国学力調査の分析/ 小学校算数
★算数科では、数学的活動の文脈を設定した出題により、児童の数学的な知識・技能や思考力・判断力・表現力が評価された。その結果、図形の構成要素等に着目して図形の性質や計量を考える問題など、数学的な見方・考え方を働かせて考える問題において学習上の課題がみられた。また、判断の根拠を明確に示しながら自分の考えを説明することにも課題がみられた。
➊令和五年度全国学力調査の分析/ 中学校数学
★「知識・技能」を問う選択式の問題の3問で、正答率が50%に達しなかった。折に触れてこれらの内容を指導することが必要である。
★「思考・判断・表現」の問題は記述式の問題であり、正答率が40%前後の問題が多かった。これらは問題文が2ページになるなど、読解力が要求される。読解力をつける指導を意図的に行うことが必要がある。
➊令和五年度全国学力調査の分析/ 中学校英語
★「聞くこと」「読むこと」では自分の立場から判断することに課題があった。また、「書くこと」「話すこと」では、理由や具体例を付け加えて表現することに大きな課題が見られた。
授業では目的や場面を意識し、自分の考えを根拠や具体例を示しながら表現する機会の充実が一層求められる。ただし、評価基準の妥当性については再考の必要がある。
➋教師のワークライフバランス/教師こそ、ワーク・ライフ・インテグレーションをめざそう
★教師がワーク・ライフ・インテグレーションのモデルになろう。
★「ワーク・ライフ・インテグレーション」(仕事と生活の双方が充実することで人生が豊かになるという考え方)を実現するには、「自分の人生は自分自身が決め、そしてその決定を変えることができる」という交流分析の考え方が役に立つ。
★十数年間、いわゆる教育困難高校へ勤務した経験を軸に、自分自身のワークライフバランスと教師としての成長の変遷を考察する。
➋教師のワークライフバランス/いま、求められている「教師のワークライフバランス」
★介護や保育、運転手などの職場の「ブラック化」がクローズアップされ、人が集まらない問題を抱えている。教育現場も、「ワークライフバランス」が他の職業に比べて見劣りしていることが社会問題になっている。「ワークライフバランス」の改善に向けて、国や自治体の施策に期待しても、何年先に実現するかはわからない。自らの人生を充実させるためには、いまの環境の中で、個人として「ワークライフバランス」を実現する能力が求められる。
➋教師のワークライフバランス/ワークとライフの好循環をつくる
★人生において、ワークとライフは切り分けられているものではなく、お互いに影響し合っている。ワークとライフの相互の影響(スピルオーバー)を考え、ストレスマネジメントやタイムマネジメントで、ポジティブなスピルオーバーを大きくし、ネガティブなスピルオーバーを小さくすることで、公私ともに充実した時間を送ることができるようになる。
➋教師のワークライフバランス/仕事にやりがいを感じ、ライフイベントを楽しむ
★家庭での役割(ライフ)と職場での役割(ワーク)を、自分なりに納得できる形で果たせることが、教師として生きがいを感じることにつながります。そのためには、これまで教師文化として形成された価値観や行動様式とは異なった新たな働き方の形成が必要になります。
★仕事と生活の調和を図るためには、教師が、自分の生き方や働き方を自ら設計していく姿勢も望まれます。
➋教師のワークライフバランス/生活を充実させ、専門性を高める働き方
★ワークライフバランスを保つには、生活と学びを楽しむ姿勢が大切である。そのためには、次のことを心がけたい。①プライベートでは、家族との時間とともに、自分の時間も確保する。②仕事では、ライフステージに合わせて研修講座やセミナーに参加し、専門職としての資質を高める。③オンオフを切り替えたり、サポートシステムを活用して、明日への活力を蓄える。④成長する子どもにかかわる喜びを味わうことが、教師としての生きがいにつながる。
連載
巻頭言/教師のワークライフバランス | 明治大学教授 諸富 祥彦 |
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目標準拠評価を教育に生かす(21)社会科の評価⑶目標準拠評価に必要な通年の評価基準と詳しい評価事例集 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
算数科で育てる「思考・判断・表現」する力⑽傾向を調べるための分類・整理-表づくり(三年生・四年生) | 明星小学校副校長・前筑波大学附属小学校副校長 夏坂 哲志 |
読解力の育成(小学校実践編)⑼説明的文章の系統指導① | 昭和学院小学校長・前筑波大学附属小学校教諭 青木 伸生 |
教育の窓(68)/「休日の部活動」の地域移行を考える | 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長) 岸川 央 |
漢字を教える・学ぶ⑹漢字の組み立て認知方略-漢字の構成に注目した指導- | 八王子市立松木小学校研究主任 宮内 健 |
「叱る」を考える⑾管理職が教職員を「叱る」-正しく叱れていますか?- | 湘南学園学園長 住田昌治 |
子どもを真ん中に置いた支援⑸子どもを真ん中に置いた支援のポイント-子どもの自己決定を尊重して- | 前東京成徳大学教授、一般社団法人スクールセーフティネット・リサーチセンター代表理事 田村節子 |
「あきらめる」を肯定的にとらえる⑾あきらめることとキャリア教育① | 十文字学園女子大学准教授 永作 稔 |
新/教育統計・測定入門⑽項目反応理論と項目分析 | 法政大学教授 服部 環 |