- 事例で読む
- 生き方を支える進路相談
- 教師だからできるキャリアカウンセリング
- A5判/136頁
- 定価:1980円
- 発行年:2009年
- ISBN:978-4-8100-9556-2
- 電子版あり (リフロー型) 2013年
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進学や就職の悩み相談を通して,人として,教師として考えたいこと
―まえがきより―
進路の選択には,さまざまな要素が絡みます。進学なら本人の成績と希望,家庭の経済事情,就職なら本人の希望と求人状況,給与などの諸条件……。友人や家族の考えも本人の進路選択を左右しがちです。このように絡み合う要素の合間を縫うようにして決まる進路が,自分の未来に直結しているわけです。多くの生徒が,進路選択で不安を抱くのも無理はありません。
進路選択の不安を解消する手だてとして,カウンセリングへの期待が高まっています。しかし,カウンセリングだけで解決できない問題が少なくないことも事実です。カウンセリングと教師の専門性が協働して,はじめて生徒の人生を支える進路相談が可能になるのです。
本書では,進路指導や進路相談活動の前提となる,「教師の言動を支えるもの」を話を進めようと思います。
目次
第1章 教師が生き方と進路にかかわるとは1.教育現場でカウンセリング・教育相談は万能ではない
2.カウンセリング・教育相談を超える教師の力
3.生徒の進路とあり方生き方にはさまざまな背景がある
4.教師の専門性のレベルは人間性のレベルでもある
第2章 12事例に見る 生き方を支える進路指導
<友人とのかかわり>
事例1:別々の人生を歩み始める4人
◆別れと旅立ちを受け入れる準備を
事例2:指定校推薦を競い合うF子とG子
◆残酷な現実を乗り越えて支え合うこと
<家族とのかかわり>
事例3:スポーツインストラクターをめざすA君
◆自分の人生は自分1人のものではない
事例4:父親がリストラにあったH子
◆家庭の問題だからこそ第三者である教師の支援が重要
<教師とのかかわり>
事例5:調理の専門学校をめざすC子
◆戒めたい教師の思い込みと主張
事例6:大工さんになるというG君
◆生徒や親との価値観・人生観の違いを認識する
<現実的な条件>
事例7:残された企業を受験するE子
◆人生の幸不幸の複雑さを認識させる
事例8:医者になりたかったD君
◆第2希望にも第1希望と同じ価値を見いだす
事例9:明日までに企業決定を迫られるM君
◆「時間」という現実を通して社会の厳しさを知る
<再出発>
事例10:消防士への転向を考えたK君
◆1度選んだ進路を「違う」と感じたとき
事例11:よりよい自分になろうとするT子
◆社会に出てからようやく人生を考えた生徒
<人生の理不尽>
事例12:家庭の経済状態に耐えかねたK君
◆進路の相談は人生の相談でもある
第3章 事例から見えてくること,考えておきたいこと
1.友人とのかかわりから見えてくるもの,考えておきたいこと
(事例1,2)
2.家族とのかかわりから見えてくるもの,考えておきたいこと
(事例3,4)
3.教師とのかかわりから見えてくるもの,考えておきたいこと
(事例5,6)
4.さまざまなかかわりを整理し,生徒とともに探す進路
(事例1~事例6)
5.現実的な課題の前で見えてくるもの,考えておきたいこと
(事例7,8,9)
6.再出発を決心した生徒とのかかわりから見えてくるもの,考えておきたいこと
(事例10,11)
7.理不尽な人生を強いられる生徒に寄り添うということ
(事例2,4,8,12)
第4章 進路とあり方生き方にかかわるために
第1節 個人として追究しておきたいこと
1.自己の内面への問いかけこそが第一に求められる
2.意図的・計画的な自己分析・自己洞察を深める
3.「いかに生きるか」に関心をもち,学び,考える
4.人生の矛盾や理不尽さを受けとめる手段を
5.生活,生き方,言動の指針をもつ
6.個人としての追究とは……まとめ
第2節 教師として追究しておきたいこと
1.個人の興味関心だけでは生徒の問題を解決できない
2.生徒が直面する人生の課題・問題を理解する
3.課題・問題解決に向けた技術・方法論を学習する
4.さまざまな生徒理解の手法を学ぶ
5.カウンセリング技法は他の専門性があって生かされる
6.教師として追究しておきたいこと……まとめ
あとがき
おわりに