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月刊誌 指導と評価

2002年 9月号
  1. 2002年 9月号  Vol.48-9 No.572  定価:450円
特集
  • <参考資料>を踏まえた観点別評価の実際と評定(3)社会・生活
  • 【在庫なし】
  • 特集

    評価の手順から<参考資料>について考える
    文教大学学園長・応用教育研究所長  石田 恒好

    ★目標に準拠した評価を正しく行うために、参考資料を手がかりに、評価目標を「このままで測定できる」ように、児童生徒の行動の水準まで具体化したい。

    ★評価資料の収集は、2段階で行う方が現実的で正確であり、妥当性、客観性が確保しやすい。3段階以上で質的差異を把握することは、指導のためには有効である。つまり、評価資料の収集は2段階で、指導のための見取りは3段階以上でということである。

    ★評価目標の設定、評価資料の収集、評価資料の解釈(観点別学習状況のA・B・Cの分割点や評定の分割点など)という評価の手順を広く共通化し、信頼できる評価にしたい。

    社会:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
    文部科学省教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官  寺田 登

    ★目標に準拠した評価を行う上で、各学校において全教員が共通理解の下に運用すべく、評価の力量向上のため研修を行うことが求められている。<参考資料>はまさに各学校における評価の客観性・信頼性を高めることに資することを目的としている。

    ★単元の指導と評価の計画において、観点別の評価基準を作成し、単元の中での具体的な学習活動についても評価規準を設定すると共に、どのような評価方法により評価するのかを具体的に示した計画を作成することが大切である。

    ★評価規準については、「おおむね満足できる」状況(B)について設定することとし、設定した評価規準に照らして、まず「おおむね満足できる」状況(B)か、「努力を要する」状況(C)かを判断する。

    ★「おおむね満足できる」状況(B)と判断されるもののうち、子どもの学習の実現の程度について、質的な高まりや深まりを持っていると判断されるものを「十分満足できる」状況(A)とすることが適当である。

    ★「努力を要する」状況(C)となるおそれのある子どもに対しては、教員から様々な働きかけを行ったり、手だてを講じ、結果として「努力を要する」状況の評価となった子どもに対しては、例えば補充的な指導を行うなどの取り組みが必要となろう。

    社会:<参考資料>をどう生かすか(小学校)
    筑波大学附属小学校教諭  山下 真一

    ★参考資料の事例から、評価規準を作成する手順がよくわかる。特に「粗銅と評価の計画」は、学習の過程で「いつ」「どのように」評価するかを示している。

    ★ただ、問題解決の評価では「おおむね満足」(B)の具体を説明してほしかった。また社会科では、4観点を分けて評価するのが難しいが、事例を見ても区別が難しい。総合的に子どもを見取ることが大切だが、その示唆もほしかった。

    ★基礎・基本を重視し、個性を生かす指導を充実するために、他方で説明責任を果たす上からも、今後も評価規準の検討や評価方法の工夫改善を繰り返し行っていく必要がある。

    社会:<参考資料>が求める授業改善と評価の実際
    富山市立北部中学校教諭  高瀬 一寿

    ★<参考資料>は、他教科と比べて詳細な「目標と指導が一体化した」2事例を示しているが、われわれには、スタンダードに地域・学校・生徒に固有の具体性を加味した単元毎の指導と評価の計画を作成するという課題が残されている。

    ★学習のまとめとして行われることが多い歴史新聞の一部を、ねらいと明確にして作成させるなど、一時間の中で目標に応じた評価場面を設定する方法で、授業改善を進めることが求められている。

    ★ペーパーテストは、<参考資料>に示された方向で工夫改善を進めるとともに、自己評価資料として活用させることも大切である。

    ★ポートフォリオ法の導入など、評価方法の多様化を進める際には、生徒や保護者に対して具体的な情報を提供いていくことが必要である。

    社会:<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか
    広島大学助教授  棚橋 健治

    ★評価は理念・期待としてではなく事実として子どもが何を身につけたかを明らかにする。<参考資料>は、学習指導要領と指導要録の社会科学力観を具体的に形あるものとして示す労作であるが、二つの問題点がある。

    ★第一に、質の相違を明確にした知識・判断の重層的構造が描かれていないため、子どもの中に描かれるべき事象の姿と、その認識の過程や深さを測る規準が不明確である。

    ★第二に、方向付けられた態度形成という従来の社会科の学力が強く出ており、新しい学力が十分に描き出されていない。

    ★目標準拠評価での評価規準作りは、「社会科とは何か」という教科のあり方自体への根源的な問いかけへの答となる。

    生活:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
    文教大学教授  嶋野 道弘

    ★「評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料(以下、参考資料)」を有効に活用することで生活科における学習指導と評価の充実を図ることに大きな効果が期待できる。

    ★それには、参考資料を活用して単元の評価規準を作成すること、また、参考資料にある評価の考え方や方法を基にして、さらに各学校において、各学校の作成する単元の指導計画や授業の展開に即して創意工夫することが望まれる。

    ★特に「評価の視点」の設定、質的な高まりや深まりのとらえ方、評価方法、評価のまとめなどについては、実践を通して一層きゃっkんせい・信頼性のあるものにして行かなければならない。

    生活:<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか
    日本体育大学教授  中野 重人

    ★新しい学校づくりが始まった。その学校づくりの中核は授業づくりである。いま求められていること、それが評価の在り方の転換であり、観点別評価による絶対評価の実施と、指導と評価の一体化を図る授業づくりの展開である。

    ★各教科の授業づくりは、その教科の特色とかかわって一様ではない。それが、目標や内容のまとまりごとの評価規準なのである。

    ★ただ、評価規準がすべてでない。要は、評価規準とその活用が、授業づくりに有効に機能することである。この意味で、各学校からの指導と評価の実践こそ評価研究の基本なのである。

    生活:<参考資料>をどう生かすか
    國學院大學栃木短期大学教授  田中 力

    ★「内容のまとまりごとの評価規準」を受けて「単元の評価規準」を設定し、さらに「小単元における具体の評価規準」を設定するというように、評価基準設定のプロセスがわかりやすく示されている。

    ★「指導と評価の計画」では、「評価の視点」(児童の学習状況にかかわる資料を収集する視点)が示されており、参考になるが、問題点もある。

    ★「観点別評価の進め方」は、かなり細かく、”評価のための評価”になってしまわないかという心配がある。また、A・B・Cの違いが明確でないという問題がある。

    ★生活科の評価では、子どもの育ちを保障するために、評価の長期的視点が必要である。また、自己評価を積極的に取り入れていくようにしたい。

    連載

    教育評価再入門(6)   「教育評価の機能分化-診断的評価、形成的評価、総括的評価」 京都大学教授
    田中 耕治
    総合的な学習を支援するメディア活用(5)   「赤西小 あるある大百科」の実践 東京都北区立赤羽台西小学校教諭
    野間 俊彦
    教科の基礎・基本(21)<中学校国語科>(3) 京都女子大学講師
    宝代地 まり子
    目標準拠評価の評価規準の体系化の方策(6)   「学習内容に沿った評価基準の例-社会と環境」 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    アメリカの通信教育(4)   教育バウチャーと私学選択 教育臨床研究機構理事長
    中野 良顯
    標準学力検査を活用した教育実践(5)   NRTの結果を授業でどう生かすか 山口県油谷町立川尻小学校教諭
    山崎 幸洋
    だんわしつ 子ども・家庭教育フォーラム代表
    富田 富士也
    ひとりごと 元公立中学校教諭
    吉冨 久人