月刊誌 指導と評価

2003年 12月号
  1. 2003年 12月号 Vol.49-12 No.587  定価:450円
特集
学校と保護者のパートナーシップ
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特集

「開かれた学校」と保護者のパートナーシップ

千葉大学特任教授  天笠 茂

★臨時教育審議会が提唱して以来、「開かれた学校」をめぐって、学校の計画に沿って保護者が協力する段階、保護者の意向を学校の組織運営に反映させる段階、さらには、保護者自らの意志のもとに組織運営を進める段階、とそれぞれの関係づくりが展開されつつある。

★「開かれた学校」の実現にあたって、学校評価の取り組みに関心が集まっている。学校と保護者の関係づくりのための方策として学校評価をとらえ、保護者については、教職員に対置させて学部評価者としておくのではなく、共同評価者としての立場を追究すべきである。

★「開かれた学校」には、学校としての主体性・自立性が、また、その事柄についての学校としての論理や主張が欠かせない。

開かれた学校をつくるための保護者との連携

香川県さぬき市立神前小学校長  松田 勝

★開かれた学校づくりを進める中で、学校を核として家庭・地域の教育力の向上を目指しています。

★現在の子どもを取り巻く環境の中で、学校は、家庭や地域と共に、どのような視点をもって、開かれた学校づくりをし、連携を図ることが大切かを実践しています。

★情報を開示することで、児童の変化を学校と家庭がともに理解し、課題をもって取り組めるようにしました。

★長期的な展望でとらえ、学校と家庭が役割を明確にしながら、支え合う取り組みを大切にしました。

PTAとの連携・信頼関係の構築

石川県加賀市立東和中学校長  福田 一男

★情報や物質が豊かで価値観も多様化している現代、学校教育の推進・活性化には、PTAとの連携を深めることがこれまで以上に重要である。そのために保護者の関心やニーズの高い具体的な諸問題について、学校側から積極的に提案し、リードすることが大切である。

★開かれた活力ある学校づくりをめざし、「敷居が高い、閉鎖的」といわれる学校のイメージを払拭し、信頼関係の構築に向けてPTAとの様々な連携活動を展開している。とりわけ学校の根幹であり、保護者にも最も関心の高い「授業」について「自由参観」にとどまらず、「保護者からも授業の評価」をいただくなどの取り組みもしている。

★情報開示や説明責任など開かれた学校へという社会的必然性を校長のリーダーシップの元、全教職員がしっかりと認識し、日頃からPTA・保護者との連携活動を密にし、意志の疎通を図り信頼関係を構築していかねばならない。

学校支援ボランティアの活用

筑波大学附属中学校教頭  山中 恒己

★あいつぐ「人員削減」の中で、学校運営は危機的状況であり、保護者・地域の「学校支援ボランティア」の活用は、もはや必要不可欠である。

★「学校支援ボランティア」には、「図書館ボランティア」「グリーンボランティア」「授業支援ボランティア」「行事支援ボランティア」など各種ある。

★担当部局・担当者を明確にし、保護者対象なら、PTA活動の一環としての位置づけや扱いを明確にしておくことが大切である。

★目的と活動内容を明確にし、「ボランティアの精神」を大事にした扱いが大切である。

問題発生時の学校と保護者のパートナーシップ

筑波大学附属中学校教頭  山中 恒己

★学校と保護者が相互にパートナーとして協同することは、問題の未然防止及び解決に向けての取り組みに大きな成果を発揮します。保護者を指導・援助の対象とみるのではなく、共に解決を目指すパートナーとして、手をたずさえることが大切です。

★このためには、日頃より様々な活動を通して信頼関係を深めるとともに、問題発生時にはお互いの役割を尊重しあいながら、成果を共に分かち合うことが求められます。

★保護者とのパートナーシップと円滑に進めるには、子どもの問題に悩む保護者の心情を理解する共感的態度と、実際の対応方法について具体的にアドバイスできる指導力を身につける必要があります。

非社会的な問題行動と、学校と保護者のパートナーシップ

筑波大学教授  熊谷 恵子

★非社会的な問題行動の中から特に不登校、引きこもり、自殺についてその状態像の特徴と原因、対処の仕方について述べた。

★不登校、引きこもり、自殺などの非社会的な問題行動は、なかなか表面化せず、表面化した時には重傷な状態であることから、メンタルヘルスのスクリーニングテストを使用するなど、表面化せずとも状態がわかるような手だてが必要である。

★家庭内において、引きこもっていても、家族は問題を自分たちのみで抱えず、学校の職員及び地域の保健センターなど外部者との共同の問題解決が必要である。

特別支援教育と、学校と保護者のパートナーシップ

筑波大学教授  熊谷 恵子

★平成15年3月に出された文部科学省の「特別支援教育について」の最終報告に基づき、特別支援教育となり、新たに支援教育の対象となった、LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちについての特徴を述べ、これらの子どもたちが特に周りから誤解を受けやすい点を指摘した。

★学校と保護者のパートナーシップについては、主に特別支援教育コーディネータと個別の教育支援計画に関して述べた。

連載

私が行っている継続可能な目標準拠評価(8)   小学校家庭 大阪府立堺市鳳小学校教諭
高橋 久美子
私が行っている継続可能な目標準拠評価(8)   中学校技術・家庭 愛知県安城市立安城南中学校教諭
浜田 康司
小学校算数の基礎・基本の指導と評価(7)   子どもたちが能動的になる瞬間(2) 元筑波大学附属小学校教諭
正木 孝昌
教科におけるポートフォリオの活用-目標準拠評価を充実させるために(2)   ポートフォリオとルーブリックへの十の批判に応える 京都大学准教授
西岡 加名恵
自己評価の肥沃な大地(2) 二葉看護学院ほか非常勤講師
小田 勝己
標準学力検査を活用した教育実践(16)   中学校社会科における目標準拠評価に標準学力検査をどう生かすか 宮崎県清武町立加納中学校教諭
伊東 泰彦
だんわしつ 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
ひとりごと 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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