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月刊誌 指導と評価

2004年 4月号
  1. 2004年 4月号  Vol.50-04 No.591  定価:450円
特集
  • 授業研究
  • 【在庫なし】
  • 特集

    効果的な授業研究の視点と方法
    東京学芸大学教授  児島 邦宏

    ★授業研究は教育研究のため、授業改善のため、指導力の訓練のためと様々なねらいがある。学校での研究は授業改善のためにある。

    ★また授業には目標やねらいがあり、その目標やねらいの質によって、研究の視点や方法も大きく異なってくる。そこに授業研究の鋭いねらいがまず求められる。

    ★授業は実に多くの要因や条件に支えられて展開するものであり、また授業モデルによって接近法も異なってくる。そうであるだけに、どのような授業観から何をどのように改善するのかという視点や方法を押さえて、研究を進めることが不可欠である。

    よい授業の条件とは何か
    東京学芸大学教授  河野 義章

    ★若い日に、医者も名前が分からないような病気で入院した。シンドロームという言葉を覚えた。それから、医者の仕事と教師の仕事を比べるようになった。例えば、診療室で、医者は一人の患者に向き合う。看護師をはじめとした複数の専門的スタッフの支援もある。一方、教師は教室の授業場面で、(近頃ようやくTT加配も行われるようになってきたが)基本的に一人で、大勢の子どもに対応する。子ども集団と向き合うことから学びの楽しさも生まれるが、それに目を奪われると、個々の子どもの学びの成立に無頓着になる。

    これからの教育目標と授業形態
    静岡大学教授  長崎 栄三

    ★これからの教育目標として、どのような知識を理解し習熟するかだけではなく、どのような能力や資質を身に付けるのかが問われている。

    ★我が国では、小学校の方が中学校よりも授業形態等の改善へ積極的に取り組んでいる。今後、教育目標と授業形態等の関係についての実証的な研究が望まれる。

    ★よりよい授業形態を考える上では、「子どもの考えを生かすこと」と「理解を確かなものとし、能力や技術をきちんと身に付けること」のバランスを保つことが重要である。また、教科の目標だけではなく学校としての教育目標をも考える必要がある。

    ★現在の多様な授業形態の試みの記録やデータをみんなの財産として論じることによって、よりよい授業を作っていきたい。

    授業研究の進め方
    横浜国立大学教授  橋本 吉彦

    ★授業研究を構成する要素は三つある。-学習指導案、-授業観察、-研究協議会である。その順に留意すべきことがらを述べる。また、アメリカでの授業研究の体験を例示する。

    ★-学習指導案については、『尋一算術教授案の新研究』を紹介する。そこに記述されている内容は、今日のものと本質的にはほとんど変わりがないといえる。その時間内に達成可能な具体的な目標を記述すること、主な発問と予想される児童・生徒の反応を調べておくことが、肝要である。

    ★-授業観察については、どのような点に目を向けたらよいかに関して、十項目を列挙してある。

    ★-研究協議会については、十項目を検討してみることのほかに、協議会での司会者・座長とよばれる人の役割を指摘する。

    ★全体を通して、具体例としては、サイエンス・パートナーシップ・プログラムでの筆者自身の経験を記述する。

    よりよい授業を目指す授業参観の視点
    栃木県総合教育センター副主幹  田上 富男

    ★自分の授業を磨き高めるには、他の教師の授業を見ることが必要不可欠である。

    ★子どもの実態を把握し、教材を分析・研究し効果的な指導法を考えて授業設計したものが指導案であるから、それをよく理解した上で授業参観することが望ましい。最低限、本時レベルでの視点を押さえることが肝要である。

    ★授業における教師や子どもの動きは実に様々である。したがって、「教師を見る視点」と「子どもを見る視点」を押さえて参観することが望ましい。

    授業をつくる-中学校国語
    東京芸術大学附属音楽高等学校教諭  小尾 真

    ★国語の授業は学習指導要領がどう変わろうが、ほとんど影響がない。

    ★国語の授業を面白くするのも、つまらなくするのも教師しだいである。

    ★授業の要は、「教材研究」と「指導案」と「臨機の力」である。そして、指導案を支えるのが「発問」と「板書計画」である。

    ★ヘルバルトのいう「臨機の力」は、教師にとって重要な力である。

    ★国語の授業は教科書べったりよりも、自ら単元を組むと学習のめあてがはっきりして、よい授業ができる。

    ★敬語の授業は、学問的成果を日常に当てはめて考えてゆくことができ、生き生きと展開できる格好の授業である。

    ★学問的成果は、決して押しつけることなく生徒自らに考えさせたい。

    「調べて考える」社会科学習を!
    北海道札幌市立有明小学校長  田山 修三

    ★これからの社会化学習は、これまで以上に「調べて考える」社会科、問題解決的な学習にしたい。問題を発見して、自ら追及していく学習である。知的好奇心をゆさぶる、おもしろい教材の開発・教材化がポイントとなる。このような教材は、基礎・基本的な内容が含まれ、深まりや広がりのある教材でもある。

    ★社会科の学習は多様な視点・考えによって、追求が深く豊かになる。だからみんなで考えることのできる学習集団に育っていなくてはならない。そして、社会科が「おもしろい、楽しい!」という子どもを育てるためにも、様々な指導技術を駆使する必要がある。社会科の学習を活性化したい。

    授業をつくる-中学校理科
    筑波大学附属中学校教諭  金子 丈夫

    ★よりよい授業をするためには、他の教師の授業から学ぶことと教材研究が必要である。教材研究には、教材の持っている本質的な内容ばかりでなく、生徒に対して教材をどのように組み立て授業を展開していくかを考えることが大事である。

    ★授業の導入では生徒に気持ちを引きつけること、観察では観察する観点を示し、何をどのようにすればよいかをはっきり示すこと、演示実験では結果が確実にはっきり出るものを心がけること、実験は筋道だった考えができるようなものを選ぶこと、問答形式の授業ではどのような場面を山場にするか教材を編成することが大事である。

    「授業研究」への期待
    青山学院大学教授  坪田 耕三

    ★日本の教師が当たり前のように、その資質の向上のために行っている「授業研究会」は、今やアメリカ合衆国から注目され、その重要性が再評価されている。とりわけ算数科の授業研究会が期待されている。

    ★「授業研究会」のあり方を再考し、今後の日本の算数教育に関わる「授業研究会」への期待を述べる。

    ★「授業研究会」のポイントは、「事前の研究/学習指導案の作成」と「授業研究会/実際の授業観察」と「授業後の協議会/代案の作成」の三つである。

    連載

    教科におけるポートフォリオの活用-目標基準評価を充実させるために(6)   学級・学校を超えて評価のスタンダードを統一する 京都大学准教授
    西岡 加名恵
    小学校算数の基礎・基本の指導と評価(11)   子どもたちが能動的になる瞬間(6) 元筑波大学附属小学校教諭
    正木 孝昌
    学習意欲のとらえ方・育て方(1)   学習意欲とは何か 筑波大学教授
    桜井 茂男
    問題解決能力とその評価(1)   問題解決能力とは 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    ドリルについて考える=学習者の視点を考えるドリル論(1)   よい授業の4つの条件 東北福祉大学準教授・授業づくりネットワーク代表
    上条 晴夫
    だんわしつ 京都教育大京都府亀岡市立安詳小学校教頭
    亀谷 陽三
    ひとりごと 元公立中学校教諭
    吉冨 久人