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月刊誌 指導と評価

2013年 2月号
  1. 2013年 2月号  Vol.59-2 No.698  定価:450円
特集
  • 全国調査
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  • 特集

    教育に関する全国調査の現状と課題
    国立教育政策研究所総括研究官  千々布 敏弥

    ★国では、国が条件整備する上で必要な調査、学校の管理運営に関する調査、子どもの現状や教育の成果に関する調査などを実施している。
    ★それらの中には、戦後一貫した体制で調査され、時系列比較が可能な調査がある一方で、調査の空白が見られるもの、調査の定義が変更されたために時系列比較がむずかしいもの、逆に調査の定義が時代の変遷に合わなくなっているものもある。
    ★今後の方向性としては、時系列分析を重視するもの、要因分析を重視するものなど、調査方法を目的に応じて吟味する必要がある。また、調査データの共有化、調査実施における関係機関の連携など、調査の実施体制の効率化も必要である。

    全国学力調査のあり方
    京都大学学際融合教育研究推進センター教授  惣脇 宏

    ★全国学力調査は、たえず見直しを行い、よりよい調査にしていく必要がある。
    ★調査が複数の目的を実現するためには、目的を絞った調査を複数組み合わせる方向が望ましい。調査が指導や学習に与える影響についての十分な配慮も必要である。
    ★非公開問題を用いた厳密な経年比較が必要である。広い範囲の教科内容の調査と経年比較をともに可能とする重複テスト分冊法も考えられる。
    ★記述式の出題は迅速な採点・返却には適さないが、思考力や表現力を適切に評価するために必要である。
    ★調査に必要な専門性を有する人材の養成が急務である。

    思考力、判断力、表現力などを測る学力調査
    国立教育政策研究所学力調査官  樺山 敏郎

    ★思考力や想像力とは、言語を手がかりにしながら論理的に思考する力、豊かに想像する力である。思考力や想像力などは、認識力や判断力などと密接にかかわりながら、新たな発想や思考を想像する原動力になるものである。思考力、判断力、そして表現力は、言語を介在させて成り立ち、分けることができない。つまり、考えたことは一定の言語表現をしないかぎり、自覚化や高次化はできないし、他者に伝えることもできない。
    ★思考力、判断力、表現力について評価する場合、その評価者が被検者に対して、どのように手順や方法で発問することが有効であるかを十分検討していく必要がある。
    ★今後の学力調査においては、思考、判断、表現のプロセスを問う問題や、メタ認知能力との関連を重視した問題の開発が求められる。

    国内の学力調査と国際的な学力調査の概観
    国立教育政策研究所総括研究官  銀島 文

    ★2012年12月11日にTIMSS2011調査の結果が公表された。この調査は算数・数学と理科について、参加国のカリキュラムを比較しつつ、子どもたちの学力について動向を調査しているものである。前回のTIMSS2007調査のデータは、わが国の学習指導要領改訂作業において参考資料として活用されている。近年、学習指導における評価の在り方の議論が高まっており、また一方で、国際的な学力調査が我が国の教育に与える影響は大きくなる傾向がある。本稿ではそれらの学力調査について概観し、教育課程の改訂や教育の在り方の議論との関連について焦点化して述べる。

    「豊かな人間性」の調査に向けて
    帝京大学大学院教授  赤堀博行

    ★学習指導要領の理念である「生きる力」について、確かな学力は全国学力学習状況調査で、健康・体力は全国体力・運動能力、運動習慣等調査でその状況を把握している。一方、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性の状況を把握することに特化した調査は現時点では実施されていない。
    ★生きる力が知、徳、体のバランスのとれた力であるならば、確かな学力や健康・体力を支える徳の部分である豊かな人間性ついても、児童生徒の状況を明らかにすることが必要である。

    全国標準を持った行動や道徳に関する検査の紹介
    (一財)応用教育研究所副所長  宮島 邦夫

    ★測定しようとする特性の例として、行動や道徳に関するものに着目し、それらの全国標準を有している教育・心理検査がある。本稿では、筆者が副所長を務めている一般財団法人応用教育研究所の標準化による2つの検査(教研式はびっと・教研式HUMAN掘砲砲弔い撞述する。

    全国体力調査三年間のまとめと取組ハンドブックの活用
    東京大学・日本体育大学名誉教授  浅見俊雄

    ★子どもたちの体力は、昭和六十年頃と比較すると依然低い水準となっているが、新体力テスト開始後の十三年間で低下傾向に歯止めがかかり、横ばいまたは向上傾向が見られる種目もある。
    ★全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力調査)の三年間の実施による効果として、学校における新体力テストの実施率が百パーセント近くにまで上昇していることや、全国体力調査を元に学校・教育委員会においてさまざまな体力向上のための取組が推進されていることがあげられる。
    ★三年間の調査から、運動をする子どもとしない子どもの二極化が見られることや、それによって体力差が生じていることがわかった。そして、その背景にある運動習慣や生活習慣と体力との関係について詳細な分析を行った結果、学校の授業改善や、学校以外において家庭・地域との連携によって効果的に取組を推進することが重要であると言える。
    ★三年間の「全国体力調査」結果をまとめた「子どもの体力向上のための取組ハンドブック」を今後の取組に積極的に活用していただきたい。

    イギリスにおける全国学力テストと教師による評価の課題
    追手門学院大学教授  鋒山 泰弘

    ★本稿では、二〇一一年に出されたイギリスにおける今後の全国学力テスト、教師による評価、学校教育の説明責任のあり方に関する報告書を検討し、イギリスにおける学力テストの見直しの内容とその理由を明らかにする。今後も英語の「読み」「言語事項」、数学に限られた学力テストを続けていく提言がなされている。「正誤」のはっきりしたテストが作成できる領域では外部評価を行い、それ以外の作文や科学的探究などの重要な学力に関しては教師による評価を重視していくという方向性が出された。

    連載

    思考力・判断力・表現力を育てる指導と評価/判定基準を用いた形成的評価の意義と思考力の発達的評価 国立教育政策研究所総括研究官
    山森 光陽
    特別支援教育に取り組む/教育委員会として特別支援教育に取り組む−教育委員会ができる学校支援、子ども支援のあり方 東京都三鷹市教育委員会学務課教育支援担当課長
    田中 容子
    学級ソ−シャルスキルを子どもに育てる/全校一斉方式SSE 新潟県魚沼市教育委員会統括指導主事
    伊佐貢一
    これからの評価を考える/観点の設定と評価用語の問題 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    坪田耕三先生の発展・応用を学ぶ小学校算数の授業づくり「深め」「拡げ」て豊かな学び−低学年でも発展・応用(6)2年 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    TIMSS2011理科結果の分析と考察 国立教育政策研究所総合研究官
    猿田 祐嗣
    これからの小学校国語の授業づくり/書くこと、2年 筑波大学附属小学校教諭
    青木 伸生
    小学校理科の授業づくり/理科における「活用」のとらえ方とそのポイント 文部科学省教科調査官
    村山哲哉
    小学校英語活動のポイント(44)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法−その24−Hi,friends!2の第2課I can swim. 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    学校の法律相談(22)インフルエンザの流行で学級閉鎖 国立教育政策研究所名誉所員
    菱村 幸彦
    アドラー心理学で教師力を高めよう!/教師どうしの協力関係 名城大学講師
    杉村秀充
    教育測定・統計入門/統計的仮説検定とは 法政大学教授
    服部 環
    だんわしつ/「無言館」の成人式 日本児童文芸家協会会員・東北文教大学講師
    高橋まゆみ
    ひとりごと/ほめること 元公立中学校教諭
    吉冨 久人