月刊誌 指導と評価

2021年 6月号
  1. 2021年 6月号 vol.67-6 No.798  定価:450円
特集
❶3つの資質・能力の評価の実際(2)❷非認知能力を育てる
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特集

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/小学校国語

千葉大学附属小学校教諭  青木大和

★学習指導要領改訂に伴い、観点の趣旨も改訂された。そこで、小学校国語科3年の実践を基に、児童の作品から「話すこと」の評価をどのように行うべきかを示した。

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/中学校数学-第2学年「基本的な平面図形の性質」の評価-

東京学芸大学附属世田谷中学校教諭  鈴木 誠

★本稿では、中学2年生の単元「基本的な平面図形の性質」における「思考・判断・表現」の観点の評価について述べる。評価計画の立て方や評価の実際について、具体的な指導と評価の例を示した。評価する際には、点数付けをすることばかりに目を向けず、単元などのまとまりを意識し、一連の指導の中で、指導と評価を関連づけた計画を立て、生徒に資質・能力が育まれるような評価とすることが肝要である。

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/中学校理科-第3学年第2分野「地球と宇宙」-

筑波大学附属中学校副校長  新井 直志

★評価計画は、どのような資質や能力を、どのような場面で身に付けさせるかを考えることである。実際には計画通り進まないので、生徒の学習状況に応じて計画を見直すことが必要になる。記録に残す評価は全員に対して同質なものでないと総括的評価に生かせないが、評価場面を多くすることは生徒個人の把握機会を増やすことになる。学習計画も評価計画も、常に実態に合わせて改善していくことが大切である。

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/小学校英語-さいたま市「グローバル・スタディ」における「知識・技能」及び「思考・判断・表現」の評価方法-

さいたま市教育委員会 学校教育部指導1課国際教育係   紺頼麻子

★新学習指導要領において改訂された評価の3観点のうち「知識・技能」「思考・判断・表現」の評価について、さいたま市独自の英語教育「グローバル・スタディ」の小学校第5学年の一単元をモデルとして示す。あわせて、単元の「指導と評価の計画」の作成方法について述べる。

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/小学校図画工作

埼玉大学附属小学校教諭  坂井貴文

★第2学年「えのぐランド」は水彩絵の具で自分が行きたい世界を絵に表す題材である。水彩絵の具で様々な表現を試すことで、様々なことを発見しながら楽しく活動できる魅力がある。
★題材の目標と評価規準は表裏一体となるように設定し、指導計画、評価計画に沿って、計画的に指導と評価を行っていく。
★授業においては、本時の目標に即して、児童が資質・能力を働かせている姿を捉える目をもつことが重要である。

❶3つの資質・能力の評価の実際(2)/小学校家庭科で「知識・技能」「思考・判断・表現」をこう評価する

元京都市立高倉小学校長  岸田 蘭子

★小学校家庭科では、学習したことを家庭生活に生かそうとする姿を目指して指導する。生活の営みに係る見方・考え方を働かせて、課題解決の過程において習得した知識・技能をいかに使えるレベルに自分に引き寄せて思考するか、その学習成果をどのような方法で見取るのか、ゴールとする目標を明確にした題材設計が必要である。パフォーマンス評価を取り入れた例を用いて、指導と評価を繰り返し伴走しながら出口の姿を評価する方法を論じる。

❷非認知能力を育てる/非認知能力とは何か-自己と社会性の視座から-

東京大学大学院教授  遠藤利彦

★近年、人の生涯にわたる心と身体の健康や、経済的安定性なども含めた幸福の基盤をなすものとして、発達早期に培われる非認知能力(社会情動的スキル)の重要性が声高に叫ばれるようになってきている。この小論では、その非認知能力に対する刮目が、どのような研究を背景に、いかにしておこり、発展してきているのか、また、その具体的な中身がいかなるものからなると把捉すべきかということに関して、ことに自己と社会性という視座から論考を試みる。

❷非認知能力を育てる/保育・幼児教育における非認知能力の育成

文教大学教授  小林 稔

★幼少期に非認知能力を伸ばすことに注目度が高まっている近年、コロナ禍を経たことによりその役割が明確になった。幼児教育の充実は、社会経済的格差に対して教育界が取り得る唯一の方策だろう。本稿では筆者らが沖縄県で実施している「幼児における自制心向上のための介入プログラム」を紹介する。この研究の分析から、幼児の自制心とライフスタイルとの間に、一定の関係性があることが明らかになっている。

❷非認知能力を育てる/授業における非認知能力の育成

麻布教育研究所所長  村瀬公胤

★今次学習指導要領が想定する資質・能力の一部である非認知能力は、教科学習に関わる認知能力と合わせて、授業の中で同時に伸びるものである。それには「自律性」「有能感」「関係性」を子どもたちに感じさせる環境、すなわち、探究的で協働的な学習を実現する必要がある。これによって、教室が変わり、子どもたちの学習意欲が高まり、結果的に学力も向上する。「学びたい」があふれる授業づくりと、それによる学校改革が進むだろう。

❷非認知能力を育てる/非認知能力を育てるグループアプローチ-学級システムプログラムによる個人と集団の成熟-

東北福祉大学准教授  中村恵子

★対人関係ゲームとは、田上不二夫によって開発されたグループアプローチである。田上は、集団遊びの研究を行い、対人行動を伴う遊び全体を「対人関係ゲーム」と命名した。対人関係ゲームは、人間関係に介入し、関係の変容を図る技法としてシステムズ・アプローチ(関係療法)に位置づけられ、学級集団への適用では「学級システムプログラム」と命名された。小論では、中学校での別室登校ならびに多部制・単位制公立高校への援用事例を報告する。

❷非認知能力を育てる/発達に偏りのある子どもたちの非認知能力を育てる

公立小学校教諭  石橋瑞穂

★発達に偏りのある子に、通級では、ソーシャルスキルや感情のコントロールなどを教えている。興味のあることを取り入れ、楽しみながら課題を達成できるような指導を心がけている。しかし、通級での指導は、子どもたちが生活している学校で力を発揮するためのはじめの一歩だ。学級で、学んだことを生かして成功体験を積むこと。家庭で、小さな成長をほめられることが、自己肯定感を育てるために大切だ。

❷非認知能力を育てる/機会をとらえて非認知能力育成の種を蒔く-コロナ下での取り組み-

江戸川区立南篠崎小学校長  豊澤みどり

★令和二年度は、新型コロナウイルス感染症対策に明け暮れる年となった。前年度末からひきつづいての臨時休業で始まり、学校が再開されてからも通常の教育活動はできず、さまざまな制約が設けられた。
★何もできないと嘆くことなく、目先の授業時数確保やテストの点数だけにとらわれることなく、機会をとらえて子どもたちが将来に渡ってよりよく生きるための基盤となる非認知能力の育成に取り組んできた。

巻頭言/それでも、やはり、「非認知能力」の育成は大切だ

中国学園大学・中国短期大学副学長  住野好久

連載

「教師力」アップセミナー 子どもとともに成長する教師をめざして(1)「志・力・魂 そして生き方!」 中国学園大学・中国短期大学副学長
住野好久
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(3)書き手としての自分を育てる 軽井沢風越学園
澤田英輔
読解力の育成(3)国語科で身につけるべき読解力とは 名古屋外国語大学教授
村上慎一
いまどきの特別支援教育(3)感覚統合の視点から支援を考える② うめだ・あけぼの学園副園長
酒井康年
実践に生かす学校心理学(1)学校心理学とは「チーム学校の必要性」 東京成徳大学教授
田村節子
ガイダンスカウンセラーの挑戦(3)調整と連携-落とし穴を越えて 東京成徳大学教授
田村節子
学びを広げる・学びを深める(2)教科の構造 東京学芸大学名誉教授
河野義章
教育統計・測定入門(94)コックス比例ハザードモデル 法政大学教授
服部 環
生徒指導は人間関係づくりから 生徒会リーダーの育成と人間関係づくり 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
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