月刊誌 指導と評価

2023年 3月号
  1. 2023年 3月号 vol.69-3 No.820  定価:450円
特集
➊「特別の教科 道徳」の現状と課題➋「生徒指導提要」の改訂
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特集

❶「特別の教科 道徳」の現状と課題/道徳科の特質と指導と評価の基本的な考え方

帝京大学教育学部教授  赤堀博行

★「特別の教科 道徳」の全面実施から、小学校は5年目、中学校は4年目が終わろうとしている。各学校では、教科書使用や指導要録への記載が求められる道徳科について、考え議論する道徳に向けた授業改善に努めている。そうした中で、明確な指導観に基づいて授業構想を行おうとする教師も少なくない。
★このような時期に、道徳科の特質と指導と評価の基本的な考え方を再確認することは、子どもの道徳性を養う観点から重要なことである。

➊「特別の教科 道徳」の現状と課題/道徳科において「何を学ぶか」を明確にする

やまぐち総合教育支援センター研究指導主事  藤永啓吾

★授業づくりは一様ではなく多様である。授業者の思いや考え方、子どもの実態等によって大きく変わるものである。とはいえ、何をしてもよいというわけではない。そのため、授業づくりにおいて欠かせない要素として、①目標(道徳性を養う)、②内容(学習内容)、③方法(発問、指導方法、学習形態)、④評価(視点、観点)をあげる。この中で、教科化以降、とくに重視されたのは、子どもを見取る「評価(視点)」である。現在は、多くの学校において、教材内容や子どもの実態をとらえながら工夫を凝らしていく「方法」や、自らの授業の在り方を振り返る評価(観点)も重視されているように思う。なお、「目標」については、方法や評価を考える基になるため、どの場合においても重視されているものといえる。では、「内容」についてはどうだろうか。本稿では、授業づくりの要素の一つである「内容」(以下、学習内容)に注目して、道徳科における現状と課題を考えていきたい。

➊「特別の教科 道徳」の現状と課題/道徳アセスメントの理解と活用のために-教研式HUMANとBEING-

(財)応用教育研究所課長  江澤賢一

★道徳教育の充実には、さまざまな角度から子どもたちの道徳性にかかわる実態をアセスメントし、指導に生かす必要がある。本稿では、確かな証拠に基づく道徳教育の推進に役立てられるアセスメントシステムについて紹介する。

❶「特別の教科 道徳」の現状と課題/道徳科の取組状況-令和三年度道徳教育実施状況調査から

「指導と評価」編集部  「指導と評価」編集部

❷「生徒指導提要」の改訂/「生徒指導提要」デジタルテキスト版の特色と核心

東京理科大学教授  八並 光俊

★「生徒指導提要」デジタルテキスト版の特色は、以下の5点です。①デジタルテキスト化により、閲覧や学習が容易にできます。②第Ⅱ部は、トピックごとに、研修で活用できるようにしました。③生徒指導の定義と目的を、子ども主体に明示しました。④二軸三類四層構造による組織的・計画的な生徒指導の展開を、具体的に示しています。⑤社会総がかりの生徒指導の推進を強調しています。

❷「生徒指導提要」の改訂/生徒指導を支えるチーム学校の体制-「みんなが資源 みんなで支援」による生徒支援-

東京成徳大学教授・筑波大学名誉教授  石隈 利紀

★これからの生徒指導で大切にしたいのは、一人一人の多様な子どもの個性を伸ばし、発達を支える「生徒支援」の考え方です。子どもの権利を尊重し、学校・家庭・地域の関係諸機関等が連携し協働する、「チーム学校」を基盤とした生徒支援の考え方と実際について説明します。

➋「生徒指導提要」の改訂/児童生徒の人権・人格の尊重と良好な学校風土の関係-生徒指導の取組上の留意点-

国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センター総括研究官  宮古紀宏

★改訂された「生徒指導提要」では、生徒指導上の留意点として、あらためて「児童の権利に関する条約」の四原則が明記されました。良好な学校風土を形成するうえで、児童生徒の人権・人格を尊重した生徒指導が求められます。また、校則や懲戒の運用と見直しでは、児童生徒や保護者、地域の関与が重要です。


➋「生徒指導提要」の改訂/児童生徒の発達の支援-学級経営、生徒指導、キャリア教育の充実を通して-

東京聖栄大学教授  岡田 弘

★児童生徒の発達の支援の要点は、常態的先行的(プロアクティブ)生徒指導の実施です。すなわち、ガイダンスカウンセリングの実践にほかなりません。これは、集団指導と個別指導の中で、発達支持的生徒指導、課題予防的生徒指導を実施することです。発達支持的生徒指導とは、すべての児童生徒を対象に、学校の教育目標の実現に向けて、すべての教育活動において進められる生徒指導の基盤となるものです。

➋「生徒指導提要」の改訂/いじめ問題への対応

関西外国語大学教授  新井 肇

★「いじめを見逃さず、早期の解消を図る」という取組の次の段階として、「すべての児童生徒がいじめをしない人に育つことを支える」という視点に立つことが求められている。そのためには、学校内外の連携・協働を基盤に、すべての児童生徒が人権意識を高め、共生社会の一員としての市民性を身につけるように、日常の教育活動を通じて働きかけること(いじめ防止につながる発達支持的生徒指導)が不可欠である。

❷「生徒指導提要」の改訂/不登校への対応-教育機会確保法に基づく不登校支援の在り方-

奈良女子大学教授  伊藤美奈子

★不登校児童生徒数は近年増加の一途をたどっているが、その背景にはコロナ禍の影響のみならず、教育機会確保法の趣旨が浸透してきたことが考えられる。とはいえ、児童生徒の社会的自立に向けた支援は必要だ。本稿では、改訂版生徒指導提要に示された四層の支援構造に基づき、不登校への支援の在り方について検討する。

❷「生徒指導提要」の改訂/多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導-発達障害への対応を中心に-

国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員  笹森洋樹

★発達障害の特性は気づかれにくい面もあることから、つまずきや失敗が繰り返され、苦手意識や挫折感が高まると、心のバランスを失い、さまざまな二次的な問題による症状が出てしまうこともある。二次的な問題による不適応の問題を考える際は、見えている現象への対応だけでなく、見えない部分にも意識を向け、背景や要因を考えて対応することが大切である。

巻頭言/無気力から子どもを救いだす

筑波大学名誉教授  櫻井 茂男

連載

目標準拠評価を教育に生かす(11)「思考・判断・表現」の育成には記述式問題が必要 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
カリキュラム・マネジメント⑽中学校社会科④魂の伝承~生き方・志を問う教育への転回~ 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭
町田 憲二
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(24)2年間の連載を振り返って-成果と課題 筑波大学教授
島田康行
文部科学省教科書調査官(体育)
渡辺哲司
読解力の育成(23)社会科で育成する読解リテラシー 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
特別寄稿/学びの支援に役立つ認知理論⑵-感情・意識・意欲と学びの認知理論- 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
真正の構成的グループエンカウンターによる学級づくり(12)学級おさめに向けて 大阪市立磯路小学校教諭
片野田亜沙子
大阪成蹊大学教授
米田 薫
教科書をひらいて授業を創る(11)小学校家庭科指導の可能性を拡げるために-衣生活学習を中心に- 信州大学准教授
福田典子
学校のリーダーシップとリーダー育成⑸リーダーの心得 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
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