月刊誌 指導と評価

2023年 4月号
  1. 2023年 4月号 vol.69-4 No.821  定価:450円
特集
➊実りある校内研修➋グループアプローチを教育に生かす
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特集

➊実りある校内研修/ワークショップ型研修の定着・発展に向けて

甲南女子大学教授  村川雅弘

★いま”はやり”(現行学習指導要領のキーワード)の表現を使えば、まさに「主体的・対話的で深い学び」であるワークショップを全国に広めて20年近くになる。定着の感はあるが、形だけのものも少なくない。ワークショップ型研修の成果を上げるために、その意義や基礎・基本、そして、GIGAスクール時代における新たなオンラインワークショップの方法と有効性について具体的に論じていきたい。

➊実りある校内研修/対話と省察を軸とした協働的に学び合う学習集団を構築する

熊本大学大学院特任教授  前田康裕

★現代の学校教育では、コンテンツベースの学習から、コンピテンシーベースの学習へと大きくシフトしてきている。校内研修の充実が不可決なものになるが、一方では働き方改革も求められている。こうした無理難題をどのように解決するべきか。その答えは、教職員自身が対話と省察を軸とした協働的に学び合う学習集団となることである。本稿では、熊本市立五福小学校の事例をあげながら解説する。

➊実りある校内研修/個に応じた指導を充実するための実践と校内研修

西九州大学非常勤講師・上峰町公民館長  池之上義宏

★いま求められている個に応じた指導では、学力など認知能力の指導に加え、自己調整学習など非認知能力にも関連する指導が強調されている。本稿では、筆者の実践に基づいて、生徒個々の学習状況について多面的・客観的に把握する方法とともに、その情報を生かした指導改善・学習改善のあり方を明らかにする。

➋グループアプローチを教育に生かす/グループワークとSGE-SGEを中心に

埼玉県教育カウンセラー協会代表  吉田 隆江

★日本の学校教育は、グループアプローチが主たる指導法になっている。グループワークもSGEもアメリカにその源流があるが、それぞれ日本で、日本の学校教育に適するように発展してきたといえる。グループワークは、課題(財)を達成する過程で「協働参画意識」を高めることに重きをおく。SGEは、「ふれあいと自他発見」をねらいに、エクササイズを介して、自己と出会うことに重きをおく。

➋グループアプローチを教育に生かす/学校教育に生かすネイチャーゲーム

東星学園小・中・高等学校校長  大矢正則

★ジョセフ・コーネルが発案したネイチャーゲームは、國分康孝による構成的グループエンカウンター(SGE)と共通する側面がある。前者は直接の自然体験を通して、自分の行動を内側から変化させることを最終目的としている。後者はふれあいと自己発見を通した、参加者の行動変容を目標としている。本稿ではSGEと比較対照しながらネイチャーゲームを紹介し、SGEとの異同に言及する。

➋グループアプローチを教育に生かす/学校教育に生かす対人関係ゲーム

教育環境研究センター代表  井ノ山正文

★3年にも及ぶコロナ禍の中で子どもたちは多くのストレスをかかえて過ごしている現状がある。パンデミックがもたらした社会的影響による子どもたちの変化に対し、どのように対応していくのかが課題である。
★対人関係ゲーム(SIG)は、人と人をつなげ、人々が支えたり支えられたりする人間関係を形成すること、対人関係のなかで意味あることを行っているという実感をもてるカウンセリング技法である。

➋グループアプローチを教育に生かす/授業づくりに生かすグループワーク-アクティブラーニングを成立させるために-

公立学校スクールカウンセラー(元富山県南砺市立福光中部小学校校長)  水上 和夫

★一斉指導だけでなくアクティブな授業を進める指導スキルを身につける。
★介入や個別の配慮とケアを行うことでグループ学習を活性化させ、だれ一人取り残さない協働的な学びを進める。
★体験型授業研修(ワークショップ型授業研修)を経験することで、協働的な学びを進める教師の授業力を向上させる。

➋グループアプローチを教育に生かす/協働的な学びの基盤をつくる-思春期の生徒に対する実践

東京都公立中学校教諭  笠さわ子

★多感な思春期の子どもたちが集う中学校では、協働的な学びの基盤づくりに力を注ぐ必要がある。本稿では、①自分たちでルールづくりを体験すること、②多様性を受け容れ合う土壌をつくること、のツーステップを意識した筆者の実践を紹介する。

➋グループアプローチを教育に生かす/課題集中高校でグループアプローチを教育に生かす

会津大学教授兼文化研究センター長  苅間澤勇人

★課題集中高校でグループアプローチを行う目的は、生徒間に信頼関係を築くことにある。信頼関係が築かれることで課題が減少し、卒業にいたる生徒が増えるからである。しかし、課題集中高校でグループアプローチを行うことはむずかしい。
★ポイントは、目の前の生徒の実態、例えば、生徒の自信の低さや他者とのかかわりに対する抵抗感などを十分に理解して、それに合った実施方法やエクササイズを工夫することである。また、計画的・持続的に実施して、あいさつする、考えをまとめて話す、話を聴くなどの基本的な対人スキルを身につけることである。そして、その対人スキルが協働的な学びに役立つ。

巻頭言/グループアプローチに思うこと

北海商科大学教授  大友 秀人


連載

目標準拠評価を教育に生かす(12)連載のねらい(中間まとめ) 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
読解力の育成(小学校実践編)⑴「読み方」と「思考」の系統を意識した授業づくり 筑波大学附属小学校教諭
青山由紀
書くことの指導(小学校実践編)⑴表現方法を培う書くことの授業づくり-2年生「紹介文」の実践- 筑波大学附属小学校教諭
白坂洋一
特別寄稿/学びの支援に役立つ認知理論⑶-学びの遅れがちな子の支援と認知理論- 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
「叱る」を考える⑴「『ほめる』と『叱る』」再考 神田外語大学客員教授
嶋﨑政男
いま必要な校内研修⑴保護者との連携 日本スクールカウンセリング推進協議会理事
加勇田修士
教科書をひらいて授業を創る(12)生活科の教科書には、子どもの成長を促すしかけがいっぱい 山口大学大学院准教授
藤上真弓
「あきらめる」を肯定的にとらえる(1)「あきらめてはいけない」は本当か? 十文字学園女子大学准教授
永作 稔
新/教育統計・測定入門⑺統計的仮説検定とは(1) 法政大学教授
服部 環
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